トカラ列島の平島(たいらじま|鹿児島県十島村)で2017年4月、山海留学生向けの「平島寮」が新たに開設する。十島村教育委員会では現在、寮を管理する「寮監」と留学生を随時募集している。
十島村立平島小・中学校 全景
平島に山海留学生向け「平島寮」を新設
十島村(としまむら)は、南北約160kmに浮かぶ、つの有人離島で構成される「日本一長い村」。約700人が暮らしている。1991年に始めた「山海留学制度」は、本土の小中学生が親元を離れて十島村のいずれかの島で生活を送り、学校教育や自然環境を学べるのが特徴。通学期間には制限がなく、年度の途中で転入してくるケースもある。2016年度は小学生8人、中学生7人がそれぞれの島で暮らしている。
同留学制度ではこれまで、各島の里親が留学生の受け入れを担うホームステイ方式を採用してきた。しかし近年では住民の高齢化により里親が減少。人口約60人の平島では、来年度からの受け入れが難しくなったため、平島小中学校では来年度から中学生が不在となる。
しかし、留学希望者からの問い合わせはあり、中学校存続のためにも、島内の受け入れ体制の整備が急務となっていた。
そこで十島村は、学校施設環境改善交付金を活用し「平島寮」を建設。2017年4月1日に開設される。島のヘリポートに近く、東シナ海を望める平島寮は、1部屋4畳半の木造平屋建てで、バス・トイレは男女別共同。初年度は3部屋に3名の留学生を受け入れる予定で、次年度にも3部屋を開設予定。計6名を受け入れる計画だ。
東シナ海を望む「平島寮」(建設中の様子)
「平島寮」を管理運営する「寮監」を募集中
寮の開設にあたって、児童生徒への食事提供や、生活管理などを行う「寮監」が必要になる。村は2016年12月中旬~翌1月末日にかけて、4つの応募資格を設けて募集したが、期間内に応募がなかった。そこで、条件のうち「40歳以下の夫婦で中学生以下の家族をもち、家族揃って平島に居住できること」については内容を緩和。島の自治会と協議して調整できるものとし、引き続き寮監の随時募集を行っている。
同教育委員会教育総務課の安藤浩樹課長は寮監の募集にあたり、子ども好きであることを大前提として、「『日本一長い村』といわれるように、十島村の島々は本土から遠く、フェリーも週2便で独特の環境がある。島の豊かな自然が好きで、島民と連携、協働できる方に応募いただければ」と話す。
写真左:平島小・中学校 外観/写真右:同 教室
平島小・中学校の下川床光浩校長は「留学生は、新しい生活に夢と希望を抱いて平島にやってくる。自分の子どものように、時には優しく、時には厳しく接することのできる方に来ていただければありがたい」と呼び掛ける。
島内では2015年、里親の課題に直面して「平島山海留学制度支援委員会」を立ち上げて議論をしてきた。平島寮の開設にあたり、子どもたちだけでなく、寮そのものを島全体で支えていく方針だ。下川床校長は「寮監が用事で鹿児島に行く際の管理など、臨機応援に寮の運営をサポートしていければ」と話している。
【関連サイト】
十島村ホームページ
平島小中学校ホームページ