およそ50年前に使われていた生活道を復活させ、魅力的なハイキングルートにしようと、島民、地域おこし協力隊、島外からの学生らが協力して進めている「下甑島古道再生プロジェクト」。このプロジェクトを進める関 美穂子さんらに話を聞いた。
鹿児島県川内港から高速船甑島、串木野港(くしきのこう)からフェリーニューこしきでアクセスできる下甑島(しもこしきしま)は、面積66.12平方キロメートル、人口2,780人(共に平成22年国勢調査より)の東シナ海に浮かぶ島である。
下甑島では1年ほど前から、約50年前まで使われていた青瀬地区と瀬々野浦(せせのうら)地区を結ぶ、古い生活道を復活させる「下甑島古道再生プロジェクト」が進んでいる。
この生活道は、島内に車道が整備され、自動車が走るようになったことから使用されなくなり、それとともに頻繁に使われていた当時に比べて2地区の交流機会は稀薄になっていた。そこで、下甑島で活動する地域おこし協力隊の関 美穂子(せき・みほこ)さんは、青瀬地区、瀬々野浦地区それぞれの人たちが進めていた古い生活道の整備を、2地区が共同して行うプロジェクトとして「下甑島古道再生プロジェクト」を発足させた。
プロジェクトには島民や関さんだけではなく、島外の大学生もプロボノ(※1)として関わり、これまでに3回、平均8人ほどが泊まりがけで島に訪れた。学生の主な活動は、看板の制作、生活道のマップづくり、島民に生活道を使っていた頃のエピソードを聞くなど、様々である。関さんは「学生が生活道を使っていた島民に当時の話を聞くことで、多くの島民をプロジェクトに巻き込むことができている」と学生の活躍を喜ぶ。
青瀬地区コミュニティ協議会会長を務める東 実(ひがし・みのる)さんは、「島には高校がないので中学を卒業した子は島外へ出て行ってしまう。自分の子どもの世代にあたる大学生が島に来て一緒に活動できることはうれしいですね」と話す。一方、「島へ行く回数を重ねるうちに、島の人に名前を覚えてもらえるようになった。鹿児島に居る時に島の人から電話がくることも」と話すのは、プロボノ学生メンバーで、鹿児島大学4年生の松永千紗(まつなが・ちさ)さん。松永さんは昨年、年越しを島で過ごし伝統行事「トシドン(※2)」を見て島民と交流したという。
2月8日(日)には、およそ50年ぶりに復活した生活道を島民やプロボノメンバーと共に歩くイベントを企画。古道の復活を機に、島に新しい交流が生まれている。「島の人と知り合いになって、島の人に会いに来てくれるような関係ができたらうれしい」と関さんは期待を込めた。
※1 プロボノとは、職業上持っている知識・スキル・経験を活かして社会貢献する社会人ボランティアや学生のこと
※2 トシドンとは、毎年大晦日の夜に、家々を訪れる祝福の神様のこと
【イベント概要】
名称:助八古道を歩こうかい!!
日時:2015年2月8日 9:00〜
開催場所:鹿児島県薩摩川内市下甑島青瀬地区、瀬々野浦地区
料金:1,000円(保険料、軽食、参加賞を含む)
アクセス:川内港より高速船甑島で70分〜90分(島外の方は前泊が必要となります)
お問い合わせ:青瀬地区コミュニティ(TEL:09969-5-0952)または、
西山地区コミュニティ(TEL:09969-5-0122)
詳しくは >> 薩摩川内 観光物産ガイド
助八古道を歩こうかい!~下甑島横断ライトトレッキング~