島根県隠岐島前地域と、同雲南市の高校生がタブレット端末を通じて映像と音声で交流する「遠隔夢ゼミ」が昨年11月に開かれ、それぞれが住む地域の景観をテーマに対話をした。
同地域の公立塾「隠岐國学習センター」が、県立隠岐島前高等学校の生徒向けに取り組むキャリア教育「夢ゼミ」の一環。離島と中山間地をICT(情報通信技術)でつなぐ遠隔交流を同センターの担当者が企画し、雲南市に持ちかけて実現した。
当日、隠岐島前は同センターを、雲南市は三日市ラボ(木次町)をそれぞれ会場とした。参加したのは隠岐島前高等学校、県立三刀屋高等学校、県立大東高等学校の生徒約15人。開催時間120分のなかで、地域の垣根を越えたグループに分け、それぞれが持参した地域の景観の写真を、タブレット端末を通じて見せ合いながら、その景観の特徴や好きな理由などを語り合った。ゼミの最後には画面内の生徒と「遠隔集合写真」も撮影した。
同ゼミを担当した宮野準也(みやの・じゅんや)さんは「最初は、生徒が打ち解けられるか不安もありましたが、自己紹介などを通じてリラックスできた様子でした」と振り返る。生徒からは「今回の参加メンバーと継続して交流したい」「価値観の違いを感じた」「他の地域の高校生とも交流してみたい」などの感想が上がったという。
「離島と中山間地は、他地域の大人や高校生との交流に難しさがある点で共通しています。限られた人間関係になりがちな環境にあっても、インターネットを通じて友人やライバルと出会い刺激を受けて欲しいと企画しました」と宮野さんは話す。
同ゼミでは12月に同じ学校の生徒を集めて第2回が開かれた。今後も継続して、各地の高校と交流していきたいと意欲を見せている。「スケジュールなどの環境面が整えば、国内外どこでも遠隔交流ができます。まずは全国に同じ課題を抱える離島中山間地域へネットワークを広げていければ」(宮野さん)