つくろう、島の未来

2024年10月01日 火曜日

つくろう、島の未来

離島の課題と可能性を学ぶオンライン勉強会開催中

11月14日(木)、東京ミッドタウン八重洲カンファレンスで「未来のシマ共創会議」が開催されます。

国内417島の有人離島は、人口減少・高齢化・地球沸騰化等の課題に対し、新旧の知恵とテクノロジーを活用した取り組みが展開される「日本の未来の先進地」。そんな離島を舞台に持続可能な世界をつくる共創を生み出す参加型イベントです。詳細は特設ページをご覧ください。

▲クリックすると別タブで開いて拡大できます

当日まで、毎週木曜20~21時半に、共創会議の参加者を対象に、実践者や有識者から離島の課題と可能性について事前にインプットできるのオンライン勉強会を開催しております。テーマは、インフラ、資源の活用、医療、子育て魅力化、お金の話など……離島の持続可能な社会において直面するものばかり。

島々で現実に起こっている状況や取り組みを知っていただくことで、当日のセッションやワークショップがより立体的なものになるかと思います。そこで、勉強会の様子が分かる短めのレポートをご紹介。勉強会は共創会議終了前後までアーカイヴ視聴できますので、安心してご参加ください。

文:ネルソン水嶋

約160人の島の創意工夫に富むインフラづくり

9月12日に行われた第3回目の勉強会のテーマは、「島の課題と可能性×インフラ」。

香川県・男木島にある男木島図書館の館長を務める額賀順子さんと、離島総合研究所所長として東京や新潟などさまざまな離島地域の振興に取り組む上田嘉通さんのお二人をゲストにお迎えして、離島にとって必要なインフラとは何か、また人口減少時代の中で生まれた最近の取り組みについて伺いました。

額賀さんが暮らす男木島は、瀬戸内海に浮かぶ人口約160人の島。もともと額賀さんの夫の地元で、島で開かれた瀬戸内国際芸術祭の学校の校舎を使ったワークショップに参加した際、当時小学4年だった娘さんが「島の学校に通ってもいいな」と言い出したのが移住のはじまり。

しかし、かつてあった小中学校は休校しており、額賀さんの夫が同じく島への移住を希望する友人と市役所へ直談判。「地域として学校が必要ということを示して欲しい」と言われ、数多くの署名を集めて学校再開へ。これが、額賀さんの男木島におけるインフラづくりのはじまりでした。

ないものはつくろう。図書館がなければ、古民家を改修して図書館にしたり、燃えないゴミと粗大ゴミの回収が月1回の島で、(夫が)お年寄りのゴミ回収を行っていたり。約160人という規模だからこそ、目の届く範囲でのインフラづくりを実践されていると感じます。その一方、メタバース上に男木島を再現して本土の高校生に体験してもらい、関係人口を増やす施策をともに考えるという取り組みを行っていたりと、小規模離島だからこそ、高い自由度でインフラづくりを楽しんでいるなぁと思いました。

また、移住者が定住する上で、「お祭りでの重要な役を担ってもらうようにしている」と額賀さん。こうして地域との間に入って采配していく人もまた、重要なインフラと呼べるのかもしれません。

島には島の、ちょうどいいインフラ。

離島総合研究所の上田さんは、趣味だった島巡りを仕事にしたいと考えて法人を旗揚げ。これまでに、東京や新潟、島根などのさまざまな離島振興に関わってきました。

中でも印象深く残った話が、新潟県・粟島での取り組み。リサーチを通して、島を支える観光産業を持続可能とするために必要なことは、事業者が廃業のきっかけとなる「体力の衰え」をどうカバーするかが大切だと考えた上田さん。そこで、事業者だけでなく、業種や世代を越えて、手が空いている人がそのときどきで手伝えるように仕組み化しました。

その次に観光で出てきた課題が、島の無医村状態。医者が常駐できなければ、安心して旅行先としても選ばれにくい。そこで、救急蘇生法の認定講習を実施して、島の10人に1人が資格保有者という状態に。このように、あるインフラが整備できなければ、代替して回せるようにするというのは、大なり小なり離島に暮らす人々がつづけてきた創意工夫だなと感じます。

インフラというと私はこれまで、道路や電線などの物理的なものを想像してきましたが、今回の勉強会を通して、人の気遣いだったり、工夫だったり、そうしたものが本質なのではないかと思いました。

最後の方に上田さんが、はしけ(陸と本船をつなぐ連絡船)を例に挙げて、「昔ははしけの作業をみんながやらないとみんなが困った。だから、どれだけ喧嘩しても翌日には協力し合った」という話が印象的でした。便利になる一方で、関わり合いを失って、人間関係は希薄に。そうしていつか完全な他人同士になってしまった地域は、そもそも同じ地域に住んでいる理由すらもなくなっていってしまいます。

地域には地域の、ちょうどいいサイズのインフラがある。それを地域で、理想は全員で考えていきたいものだと思いました。

未来のシマ共創会議、参加受付中です。

未来のシマ共創会議への参加チケットは、イベント前日の11月13日23:59まで販売中です(オンライン参加は上限なし、会場参加は完売し次第終了)。繰り返しになりますが、すでに終了した勉強会についても、共創会議の終了前後までアーカイヴ視聴が可能となります。

離島経済新聞社が、「なつかしくて あたらしい ミライの島を 共につくろう」をテーマに、産学官などの垣根を越えて語り合い共創するまたとないイベントです。オンラインでの参加や後日視聴も大歓迎。奮ってご参加ください。

「未来のシマ共創会議」チケット販売ページ
「未来のシマ共創会議」特設ページ

     

関連する記事

ritokei特集