つくろう、島の未来

2024年11月21日 木曜日

つくろう、島の未来

瀬戸内海に浮かぶ興居島(ごごしま|愛媛県)と高浜港(愛媛県松山市)を結ぶ航路に、30年ぶりとなる新造船「しとらす」が就航する。6月17日(日)に進水式が行われた。(写真提供:株式会社ごごしま)

島に30年ぶりの新造船就航

瀬戸内海に浮かぶ興居島(ごごしま|愛媛県)は、愛媛県松山市沖に位置する面積8.4キロ平方メートルの島。1,065人(※)が暮らし、みかんや伊予柑などの柑橘類の産地として知られている。興居島には由良港と泊港2つの港があり、新造船「しとらす」は泊〜高浜航路を約10分で結ぶ。

※2018年3月時点住基人口

「しとらす」は、平成23年に有限会社小富士汽船と興居島汽船有限会社が合併し、株式会社ごごしまとなって初の新造船で、泊〜高浜航路を結ぶカーフェリー「えひめ2」の後継。興居島全体としては、平成元年に有限会社小富士汽船のフェリー「あいらんど」が由良〜高浜航路に就航して以来30年ぶりの新造船就航となる。

「しとらす」の名称は、約200通以上の公募作品から選出。船の速力は7.5ノット、総トン数は約194トン、全長44.6メートル、全幅11.5メートル、定員150名(車両非搭載時250名)。普通車14台を積載でき、車両の運転者及び同乗者が航海中も車両内に留まることができる「バスフロート船」に認定されている。高齢化社会に対応し、客室を1階に配置。バリアフリーの座席やトイレも備えた。

「しとらす」就航を祝う人々

広島県尾道市の造船所で行われた進水式では、関係者やその家族など約120名が集まり「しとらす」就航を祝った。

株式会社ごごしま代表取締役専務の山下峰さんは「従来の船は客室が2階にあったため、高齢の方などは階段を登るのが負担。客席を1階に配置し、バリアフリー化した『しとらす』を通院や買い物などに便利にご利用いただければ」と話す。

7月に船の引渡しを経て、8月に興居島の泊港で「しとらす」の内覧や泊港から高浜港への試乗など、地元でのお披露目が行われる。定期就航開始は、8月中旬〜下旬に予定されている。

「島内を歩いていると、『新しい船はいつできるの』などと声をかけていただくことが多い」と話す山下さんは、住民の期待を肌で感じている。建築家に依頼して内装にもこだわった「しとらす」は、観光客にも快適に利用してもらえる船になったと胸を張る。

松山市内で暮らし、興居島に通いながら「しまのテーブルごごしま」を営む藤内宏次郎さんは「新造船『しとらす』は安心安全で、展望テラス席もある快適な船だとお聞きしています。新造船の就航が、『お接待(※)』の文化が残る興居島らしい観光や地域の賑わい創出に繋がればと期待しています」と話した。

※お接待……四国遍路や道行く人に飲食などを無償で施す風習


【関連サイト】
株式会社ごごしま

     

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