つくろう、島の未来

2019年09月16日 月曜日

香川県丸亀市の離島を舞台に、東京の美大生が島に滞在しながら創作活動を行う「HOTサンダルプロジェクト」が4年目を迎えた。同プロジェクト実行委員会事務局の近藤光洋さんらに話を聞いた。

■4年間で112名の美大生が島で創作活動を行った

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香川県丸亀市の4離島、広島(ひろしま)・本島(ほんじま)・手島(てしま)・小手島(おてしま)では、東京の美大生が島に滞在し、住民との交流を行いながら創作活動を展開する「HOTサンダルプロジェクト(以下、同プロジェクト)」が、2012年より毎年実施されている。

市が支援する同プロジェクトは、毎年、東京の美大から約30名の大学生が1カ月ほど島に滞在し、創作活動を実施。昨年までの3年間で83名の大学生が島に訪れた。4年目となる今年は、8月3日〜8月26日の間、29名の学生がそれぞれの島で制作活動を行った。

実行委員会事務局の近藤さんは、プロジェクト名について「4つの島の頭文字[本島・広島(H)、小手島(O)、手島(T)]をつないだものであり、また、島の住民の温かさや、おもてなしという意味をHOTに込め、砂浜での活動を連想する履き物としてサンダルと加えました」と話す。

同プロジェクトでは、東京の多摩美術大学、武蔵野美術大学、女子美術大学の3大学から日本画専攻の学生を募集。滞在中は、教員宿舎や民家などで自炊しながら宿泊し、学校の体育館(一部は休校中)をアトリエとして約3週間、作品制作に取り組んだ。また、島の住民と一緒に作品づくりを行うワークショップを実施したほか、完成した作品を住民に披露する発表会も開催。学生は、住民と交流しながら作品を仕上げていった。

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「学生が島内を歩いているとき、『何しよるん?』と声をかけていただいたことで、自分が島民の方に気にかけてもらっていることをとても喜んでいました」(近藤さん)

現在、多摩美術大学で助手を務める長谷川 幾与さんは、2012年に第1回目のHOTサンダルプロジェクトに参加し、広島で創作活動を行った。採掘業が盛んな広島ではさまざまな石が採れることから、島中の石を集めて岩絵の具(※)をつくり、作品を完成させた。長谷川さんは「島民の方が釣りを教えてくれたり、作品発表会では作品に対して島民の方がコメントをくれたり、1日1日がとても充実していました」と、島での滞在を振り返る。
※岩を砕いたものを膠液(にかわえき)で溶いた、日本画の代表的な絵具

丸亀市の島々には、本島に10数人と小手島に1人の子どもがいるのみで、他の島には子どもはいない。島に不在となる若者世代が集うHOTサンダルプロジェクトは、少しずつ住民に認知され、4年目の今年は定番化されつつあるという。

広島で学生を受け入れているNPO法人石の里広島の横瀬 實さんは「今年で4回目。はじめの頃は不慣れなこともあり、あまり島の方との交流が生まれなかった。2、3年と継続させていく中で徐々に交流も増え、個々に夕食に招いてくださるほど仲良くなった方もいます」と話す。

また、島から帰った美大生が、島の高齢者たちが制作している島内マップや絵本に入れる挿絵を描くなど、プロジェクト終了後も住民との交流が続いている。

横瀬さんは「島に来た学生が、東京に帰って家族や友人に島のことを話してくれるのはありがたい」と話す。一方、「ただの交流に終わってしまうと、島の住民側のおもてなしの負担が多くなってしまう。ゆくゆくは島に移住してもらえたら」と期待を寄せる。

若者が島に滞在し、活動を行うことで島はにぎやかとなる。夏の間、島に活気をもたらす同プロジェクトは来年も実施する予定だ。

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