瀬戸内海の離島・男木島で、古民家を再利用する図書館開設の計画が進んでいる。Uターンで移住した福井順子さんが代表を務めるNPO法人「男木島図書館」の活動だ。2015年6月の開館予定に向けた現在の状況を聞いた。
■年齢を問わず島人の集う図書館を男木島に
撮影:小倉快子
香川県高松市にある人口約180名(※)の離島・男木島で、築100年ほどの古民家を改装して、2015年6月開館予定の図書館をつくる計画が進んでいる。2014年にUターンした福井順子さんが代表を務めるNPO法人「男木島図書館」の活動だ。
※平成26年10月1日現在 187人(『高松市統計書 高松市の人口』より)
元々、島内のコミュニティーセンターに図書室はあったが、それでも図書館を新設する目的について福井さんは「男木島の住民が年代を問わず交流できる場を、自分たちの力でつくりたかった。つい先日も、図書館に変わる予定の古民家を、島の人たちと一緒に掃除しました」と語る。
男木島図書館の活動は、福井さん自身が幼少期に本を通じて豊かな体験をしてきたため、島で育つ子どもたちにも同じような体験をしてほしいという願いからスタートした。また、男木島には一人暮らしの高齢者も多く、一人でも気兼ねなく集まることのできる場所として図書館が最適だとも感じたという。図書館の蔵書は、主に島内外からの寄贈により約10,000冊の収蔵を目指す。
6月に予定する開館を前に、現在、福井さんは古民家の改築作業をする一方、島内で必要とされている本をリサーチするため、週に1度、男木島で昔から親しまれているオンバ(手押し車)に本を積んだ“移動図書館”を運営している。
福井さんは、実際に移動図書館を始めてみて分かったことについて、「島の人が欲しい本は一人ひとり異なっていて、面白い。読書をする習慣のない方が多いので、一冊読んだ後に、読みたい本が思い浮かぶ人もいる。知り合いが読んで、『面白かったわよ』とすすめられたから借りに来たという方も多い」と話す。そして、「本のある風景が、島の中で自然と親しまれるようになったらうれしい」と今後の抱負を語った。
【関連サイト】
男木島図書館オフィシャルサイト