11月24日、国土交通省国土政策局にて「第1回離島振興のあり方検討委員会」が開催された。「海業」「医療・介護」「教育」「観光」などに着目し、離島地域に対する具体的な振興施策が話し合われた。
離島振興はどうあるべきか。さまざまな事例をもとに議論を深める
若年層世代の流出や少子高齢化など、人口減少傾向にある離島地域。2013年4月に施行された現行の離島振興法では、人口減少の流れに歯止めをかけるべく、定住促進などが目的として掲げられているが、2015年11月現在、依然として厳しい状況が続いている。
国土交通省国土政策局離島振興課では、このような状況を受け、2014年度に「新しい離島振興施策に関するフォローアップ調査」を実施。島への定住促進、人口減少の抑制に向け、これまでの離島振興施策の効果検証などを行った。その結果、各方面の有識者より離島振興施策として特に重要性が高いものとして「海業(※)などへの取り組み」、「医療・介護の充実・改善」、「教育環境の整備」、「民間企業と離島地域のマッチング」の4項目が挙げられた。
※海業(うみぎょう)……遊漁、水産物の直売、漁家レストランなど、漁業や水産業を核とした、海や漁村に関連する地域資源に付加価値を生み出す取り組み
今回開催された「離島振興のあり方検討委員会(以下、検討委員会)」(事務局:国土交通省国土政策局離島振興課・株式会社JTB総合研究所)では、これら4項目に政府全体の取り組み課題でもある「観光」を加え、離島振興のあり方や、今後取り組むべき事業・制度などの、財源確保の流れも視野に入れた具体的なアクションプランの策定を目指している。
検討委員会は来年3月までに全4回の開催を予定。第1回目は、観光地域づくりプラットフォーム推進機構の清水愼一会長を座長に、小島愛之助さん(公益財団法人日本離島センター専務理事)、山田隆司さん(公益社団法人地域医療振興協会地域医療研究所所長)、婁 小波(ろう・しょうは)さん(国立大学法人東京海洋大学海洋科学部教授)の4名を有識者委員として招聘(しょうへい)。「離島振興のあり方〜離島振興のアクションプラン〜」策定に向け、島々の現状や課題、事例などについて話し合いが行われた。
有識者委員からは「これからの離島振興は離島地域全体への画一的な施策ではなく、それぞれの島に合わせたアプローチが必要」「海に囲まれた島ならではの優位性をどう活かすのか」「離島地域には規制緩和が必要だ」など、さまざまな意見が出され、活発な議論が交わされた。
特に「海業」「教育」「医療・介護」については、島という地理的条件などを考慮した上で、都市部に合わせた従来のやり方ではない、ICTの利活用推進や横断的な組織構築など、先進的な取り組みを柔軟に考えていくべきだという意見が多く挙げられた。
12月開催予定の第2回検討委員会では島に限らず、さまざまな地域の事例を参考に、離島振興のあり方について議論を深め、骨子案の検討を行うという。島の未来について、今後どのような議論が交わされていくのか、またその成果はどういったものになるのか、注目していきたい。