つくろう、島の未来

2024年12月21日 土曜日

つくろう、島の未来

離島の課題と可能性を学ぶオンライン勉強会開催中

11月14日(木)、東京ミッドタウン八重洲カンファレンスで「未来のシマ共創会議」が開催されます。

国内417島の有人離島は、人口減少・高齢化・地球沸騰化等の課題に対し、新旧の知恵とテクノロジーを活用した取り組みが展開される「日本の未来の先進地」。そんな離島を舞台に持続可能な世界をつくる共創を生み出す参加型イベントです。詳細は特設ページをご覧ください。

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当日まで、毎週木曜20~21時半に、共創会議の参加者を対象に、実践者や有識者から離島の課題と可能性について事前にインプットできるのオンライン勉強会を開催しております。テーマは、インフラ、資源の活用、医療、子育て魅力化、お金の話など……離島の持続可能な社会において直面するものばかり。

島々で現実に起こっている状況や取り組みを知っていただくことで、当日のセッションやワークショップがより立体的なものになるかと思います。そこで、勉強会の様子が分かる短めのレポートをご紹介。勉強会は共創会議終了前後までアーカイヴ視聴できますので、安心してご参加ください。

文:ネルソン水嶋

多良間島の活用資源は地域文化、文化経済の循環を目指す。

9月19日に行われた第4回目の勉強会のテーマは、「島の課題と可能性×資源の活用」。

沖縄・多良間島で多良間島観光コーディネーターを務める波平雄翔さんと、長崎県・対馬島の対馬市しまづくり推進部SDGs推進課に務める久保伯人さんのお二人をゲストにお迎えして、2島で取り組む資源の活用についてお話しいただきました。

波平さんが活用する資源は、地域文化。多良間島は主産業が農業と畜産業の人口約1000人の島。東西から挟むようにある宮古島と石垣島が沖縄屈指の観光地でもあることに対して、とても素朴で、牧歌的。事実、太平洋戦争も戦場になることはなかったため、沖縄の原風景が色濃く残っているのだそうです。

そんな波平さんは、地域で450年間続く伝統舞踊の八月踊りや、琉球風水などの地域文化を島外から来た方に観光コンテンツとして提供しています。ただ、観光として消費的にはせず、文化と観光と経済が輪になって好循環することを心がけているとのこと。個人的には、私が暮らす奄美群島・沖永良部島にもかつてはあった風葬文化が今も残っているという話に衝撃を受けました。自分の島で消えたからといって、日本の417島から消えたわけではない。改めて、ほかの島を学び続けねばと感じる話でした。

対馬の活用資源は海ごみ、厄介者をアート化して島外との接点に。

久保さんが対馬で活用する資源は、海ごみ。対馬は東シナ海から日本海の間に位置するため、結果として、日本海へ流れ込む海ごみを塞き止める役割を担う構図にあります。そんな海岸に流れ着いたごみは、まさにごみ山といった見た目で、成人男性が小さく見えるほど。「日本一海洋漂着ごみが流れ着く島」ということだそうですが、一瞬で理解させられるだけの迫力があります。

そこで久保さんが取り組んだものが、「オーシャングッドアート」という、対馬に漂着した海ごみを使ったアート制作プロジェクト。アーティストのしばたみなみさんとタッグを組んで、各町の海ごみを使ってアート作品を制作。さらに、当時、新潟県の山古志地域が活用して話題話題だった、NFT(代替不可能なトークン。ブロックチェーン上で情報を保管する、コピーや改ざんの防止技術)を活用して関係人口を広げたプロジェクト「Nishikigoi NFT」に着想を得て、海ごみアートの所有権を示すNFTを発行。

海ごみは、その出元が世界ということもあり、とても島単独で解決できる規模ではありません。だからこそ、実在するアナログな課題を、デジタルという空間を越えた関わり方によって仲間を募る。アナログとデジタルの特性を把握して、組み合わせるということは、今後益々大事になると感じました。

未来のシマ共創会議、参加受付中です。

未来のシマ共創会議への参加チケットは、イベント前日の11月13日23:59まで販売中です(オンライン参加は上限なし、会場参加は完売し次第終了)。繰り返しになりますが、すでに終了した勉強会についても、共創会議の終了前後までアーカイヴ視聴が可能となります。

離島経済新聞社が、「なつかしくて あたらしい ミライの島を 共につくろう」をテーマに、産学官などの垣根を越えて語り合い共創するまたとないイベントです。オンラインでの参加や後日視聴も大歓迎。奮ってご参加ください。

「未来のシマ共創会議」チケット販売ページ
「未来のシマ共創会議」特設ページ

     

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