つくろう、島の未来

2024年06月20日 木曜日

つくろう、島の未来

東京から南に約120キロメートル、伊豆半島東側の沖合い約30キロメートルに位置する伊豆大島(いずおおしま|東京都)は、今から数万年前の海底噴火で誕生した火山の島。

島内各地にはヤブツバキが自生しており、その数およそ300万本とも言われます。ヤブツバキからつくる椿油は古くから灯火や食用をはじめ、美容にも活用されてきました。

サティス製薬「ふるさと元気プロジェクト」では、島で唯一昔ながらの玉締め製法を守り続ける有限会社高田製油所(昭和4年創業)の椿油に着目。化粧品原料として新たな可能性をひらく原石素材として、さまざまな化粧品への製品化を進めています。

サティス製薬の研究開発担当者とリトケイが伊豆大島を訪ねるシリーズ第3回では、高田製油所四代目の高田義土さんを訪ね、地域文化としての椿と製油所の在り方や、島のこれからを見据えた新たななりわいづくりについて聞きました。

第1回 御神火の島・伊豆大島に輝く椿オイル。昭和初期から続く製油所を訪ねて
第2回 椿の種子が持つ美容成分を殻ごと搾る。伊豆大島の製油所で聞くこだわり製法
第3回 これからの伊豆大島へ。新たな原石素材の開発と、島のなりわいづくり

次々と人々が訪れる製油所は、伊豆大島伝統の風景

サティス製薬小沼さんとリトケイの取材チームが、伊豆大島の有限会社高田製油所を訪ねたその日、工場ではまさに椿油の搾油作業の真っ最中。せいろで蒸されたヤブツバキの種や、搾りたての椿油の香ばしい香りに満たされた工場でお話を伺っていると、次々に人が訪れてきました。

昭和4年の創業以来、島人が持ち寄る椿の種を製油してきた工場には、今も人の足が絶えない

高田さん:
(来店されたお客さんに向けて)食用の油でしたら、こちらの缶入りのものをどうぞ。

ritokei:
お近くにお住まいなんですか?

お客さん:
私は島の出身ですが今は島外に住んでいて、帰省したので椿油を買いにきました。

ritokei:
わざわざ買いに来るほど、椿油はおいしいんですか?

お客さん:
全然違いますね!私が中学生の頃は、畑の周りに植えた椿の種を集めて、ここに持ってきたの。油を搾ってもらったのを一升瓶で持って帰って、一年分の料理に使っていたんですよ。

帰省中に立ち寄ったという男性は、談笑しながら食用とスキンケア用の椿油をそれぞれ購入

高田さん:
島の人たちは、昔から家や畑の周りに防風林として椿を植えて、木を枝打ちして炭を焼いたり、集めた種を身近な製油所に持ち込んで、搾った椿油を暮らしに利用していたんです。

椿油は酸化しにくくて軽い味わいなので、揚げ物とか炒め物とかに使うといいですよ。僕のおすすめは、椿油を使ったアヒージョ。

一同:
それはおいしそう!

ritokei:
製品の販売だけでなく、持ち込まれた椿の種を油で返すことは、今でもあるんですか?

高田さん:
種の買取ではなく油で欲しいという方は今でも一定数いらっしゃって、椿油への交換もしています。

ritokei:
先ほどから、種を持ち込む方や油を買い求める人が次々と工場に訪れていましたが、人々が行き交う製油所は、伊豆大島の伝統的風景なんですね。

店内にディスプレイされた、かつて行われていた椿油の搾油の様子や搾油器の図

島に息づく椿の文化を守り、循環させる食の取り組み

高田さん:
実は、椿の種を集めて油を絞る伝統もだんだん危うくなってきています。

炭焼きのための枝打ちが行われなくなり、椿の木が種をつける量が減少傾向です。島が高齢化して種を拾う人の数も拾える量も減っていっているし、実際のところ、毎年のように原料不足の不安に悩まされています。

適度に切りながら椿を元気にして循環をつくるためには、やっぱり椿の木を商品化しなくてはいけない。そこで、椿の炭をバーベキューに利用してはどうかなと思っています。

島内の椿林。枝打ちをすることで樹勢を回復させ、椿油の原料となる種の収量を増やすことができる

ritokei:
島内のホテルや旅館など、観光業と連携できると良さそうですね。

高田さん:
口で言っているだけじゃ中々分かってもらえないから、これは僕の夢なんですけど、椿村のような場所をつくりたいなと思っていて。

製油所の隣にレストランを建てて、アヒージョとか、椿油のパスタ、椿を切った薪を燃やして窯焼きしたピザを提供するんです。

ritokei:
製油所を見学してレストランで椿油のおいしさを味わい、椿の炭や薪を燃料に使うことで椿林の再生と循環も体験できる。素敵ですね。

椿を丸ごと体験できる椿村の構想を語る高田さん。背後に見えるのは、種を圧搾するための動力源となる機構

高田さん:
循環の一つとして、椿の搾りかすの活用を進めています。捨てれば廃棄物ですが、豚に食べさせるといい飼料になることが分かったんです。

島外で畜産を勉強してきた若い子がUターンして「かめりあ黒豚」(※)の養豚に取り組んでいて、椿の搾りかすを豚に食べさせて育てています。

※「かめりあファーム」の小坂晃一さんが2021年から生産に取り組むブランド豚。伊豆大島特産の明日葉や、椿油の搾り粕、大島牛乳で精製したホエイを餌に配合。食肉のほかソーセージなども商品化されている

ritokei:
スペインのイベリコ豚も、どんぐりを食べさせていますもんね。

高田さん:
椿の搾りかすは、成分がどんぐりに近く豚の飼料に向いているそうなんです。養豚は2021年に始まったばかりで、生産量はまだ少ないんですけど、ゆくゆくは椿村で、椿の炭で焼いた「かめりあ黒豚」のバーベキューを提供できれば。

ritokei:
そんなふうに現代的なスタイルで楽しみながら、改めて椿の価値が見直されて、循環の輪が広がっていくといいですね。

工場の三和土(たたき)を飾る椿の装飾。海風から家や畑を守り、油や燃料、工芸品に加工された椿は、古来より伊豆大島の暮らしに欠かせない存在

伊豆大島で見つけた新たな原石素材となりわいの芽

サティス製薬 小沼さん:
「ふるさと元気プロジェクト」の新たな原石素材として、今、伊豆大島のツボクサにも注目しています。

ritokei:
伊豆大島に自生している植物なのですか?

サティス製薬 小沼さん:
ツボクサは、化粧品の原料として優れた成分を持っている植物で、ツボクサエキスはシカ(※)という名前でも知られています。

※ CICA(シカ) ツボクサエキスの英語名 Centella asiatica extractの略

伊豆大島に多く自生しており、こだわりを持って栽培されている方もいらっしゃるので、「ふるさと元気プロジェクト」としてなにかできないか思案しています。

全国を歩き、地域に眠る原石素材の発掘を進めるサティス製薬の製品開発担当・小沼さん

ritokei:
ツボクサエキスには、どんな効果があるんでしょうか。

サティス製薬 小沼さん:
抗炎症効果が高く、肌の赤みや荒れを鎮めてくれます。

また、コラーゲン生成にも関わり、肌にハリを与える効果もあって注目されている美容成分です。

皮脂によるテカリを抑える効果もあると言われています。

高田さん:
野生の虎が、ツボクサに身体を擦りつけて傷を治したとの伝承があるとか。

ritokei:
それはパワフルですね!

高田さん:
僕としては、椿の種を集めるために、島内の農家さんには元気で頑張っていてほしい。ツボクサが農家さんの新たな副収入になればと期待しています。

ツボクサは少し日陰になったような場所を好むらしく、畑を囲んで植えてある椿の下に植えると良く育つのではないかと思っています。

ritokei:
畑のついでに、ツボクサでおじいちゃんおばあちゃんの葉っぱビジネスができそうですね。

高田さん:
そもそも年金だけじゃ足りないと言われる時代。だからといって一から新しく管理が大変な作物を農家さんができるかというと、厳しいじゃないですか。だから、放置気味でも自生して育つようなものが良いわけです。

東京に行っている仲間も、ツボクサをやりながら時々島に帰ってきて、帰ってくる人も一人、二人って増えていけば、だんだん島も元気になるでしょう。

ritokei:
椿の種を拾う人も増えそうですね。

「ふるさと元気プロジェクト」では伊豆大島の新たな素材を開発中。島のなりわいづくりに向けて期待がかかります

サティス製薬 小沼さん:
「ふるさと元気プロジェクト」では、地域の特産品から化粧品の原料をつくり、製品を通じて素材と産地の魅力を発信していきます。プロジェクトが、島の伝統を継承していく後押しになればうれしいです。

高田さん:
これからもよろしくお願いします!

火山の島でたくましく育つ植物の調査

150年〜200年の周期で大噴火を繰り返してきた火山島である伊豆大島では、火山の噴火後、養分が乏しく直射日光による高温や乾燥にさらされる大地に芽を出す、たくましい植物が見られます。伊豆大島特産の葉物野菜、明日葉もその一つ。

古い記録では、伊豆大島の波浮(はぶ)港を開鑿した秋広平六が、江戸幕府の薬草調査に協力し、伊豆諸島を案内したとあり、古文書に約15の薬草が紹介されています。

取材に併せ、自然ガイドの協力を得て、火山が噴火した後に自生する先駆植物(※)など、「ふるさと元気プロジェクト」の新たな原石素材を探すフィールドワークも実施しました。

※ 火山噴火後の裸地は養分が乏しく直射日光による高温や乾燥にもさらされる。このようなきびしい環境である裸地へ最初に侵入する植物を先駆植物(パイオニア植物)という

伊豆大島調査を振り返って(サティス製薬 小沼さん)

伊豆大島は自生する植物の性質が本土と異なり、とても興味深かったです。

例えば、本土では香りのない植物に香りがついていたり、砂漠でも青々と生える植物があることなど、ガイドのチョモさんや佐々木睦彦さんの丁寧な説明もあって、島の植生について理解が深まりました。

島では身近だけれど他の地域では見られない植物の有用性を見い出し、島の特産品として活用できるようなきっかけをつくれたらと感じました。

高田さんのお話にあった、島で生まれ育った人がいつか島に帰って来られるようなモノづくりをしてほしいという想いをしっかりと受け止め、関わる人全てが満足できるようなプロジェクトを推進して参ります。

「ふるさと元気プロジェクト」では、人と地球の”綺麗”を守れるよう、ナチュラルで高性能な化粧品原料の開発と情報発信を行っていきます。今後もご注目ください。


こだわりの植物から化粧品を作りませんか?

サティス製薬では、地域の農産物やこだわりの植物から化粧品の原料をオーダーメイド開発しています。まずはお気軽にお問い合わせください。


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