つくろう、島の未来

2020年10月29日 木曜日

人口約20人の深島(ふかしま|大分県佐伯市)で暮らす安部あづみさん一家は、島に暮らしながら保育園や学校に通う方法を探しています。 小さな島で子育てを続けるための良きアイデアはないか。思いついた方は編集部までご一報ください。
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※この記事は『季刊ritokei』32号(2020年8月発行号)掲載記事です。フリーペーパー版は全国の設置ポイントにてご覧いただけます。

安部あづみさんは島出身の夫・達也さんと二人の娘と深島で暮らしている。特産の深島みその製造販売と、宿や飲食店の経営を行う夫婦は多忙だが、2歳と4歳の娘たちは保育園に通えていない。

本土側の保育園に通うには、船で片道25分。親が付き添い、定期船で通うなら朝夕の送り迎えに2〜3時間がとられ、運賃もかさむ。自家用船で渡ることも不可能ではないが、1日4,000〜5,000円の燃料費がかかるため断念した。

達也さんの子ども時代にも島に保育園はなかったが、昔と今は勝手が違う。かつては地域の大人やお兄ちゃんお姉ちゃんが幼児の面倒を見ることができたが、今の島は高齢者ばかりで、若い夫婦も共働き。まして、小さな島に暮らす大人は、誰もが島を支える雑務にも追われている状況だ。

美しい海に、日向ぼっこをする猫、実の孫のように子どもたちを可愛がってくれるおばあちゃんたち。そんな環境で、子どもを育てられることをあづみさんは喜ぶが、保育園に行けないことで、仕事と生活のバランスがとれない苦しみは解けない。

どうにか保育園に通えないか。市の担当者とも話し合いを重ねてきたが、解決策は見出せないまま。本土側にも保育園の統合問題で、往復40分かけて送り迎えをする家庭があるため、深島だけを特別扱いするのは難しいという。

あづみさんは「保育園は諦めたとしても小学校には通いたい」と話すが、深島から小学校に通えるかも現在保留中。理由は、深島と本土をつなぐ定期船が登下校時刻に合わせた学校船としての運航を予定していないからだ。

深島の隣に浮かぶ屋形島(やかたじま|大分県佐伯市)にも小学生がいる。本土まで10分の距離にあるため、送り迎えは自家用船でまかなわれているが、定期船が使えれば親は助かるだろう。

昔は島に小中学校があった。しかし達也さんが小学生の頃に休校。以来、島で子育てをする家族は不在となっていたが、2016年に安部夫妻がUターンしたことで、島に子どもの姿が戻った。「ばあちゃんたちがいるうちは島にいたいし、ご先祖様が帰ってくる場所をなくしたくない」とあづみさん。しかし、小学校に通えなければ一家は島を離れざるを得なくなる。

この壁を越える方法はないのだろうか?定期船が学校船にできなければ、瀬渡し船や海上タクシーが代わりになれるかもしれないし、オンライン学習と通学を併用した新しい学び方、通い方も考えられるかもしれない。必要になるのは、柔軟なアイデア。深島でも子育てを続けられる方法を集めていきたい。

特集記事 目次

子どもは島で育てたい

島ではよく聞くのに都会では聞こえてこない言葉があります。それは「子どもはみんなで育てる」こと。
核家族化や地域コミュニティの衰退から、日本の子育てが「孤育て」と呼ばれる現代。この特集では島に暮らす読者や専門家など共に、島での子育ての価値と課題、可能性を探ります。

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