つくろう、島の未来

2020年10月29日 木曜日

知夫里島(ちぶりしま|島根県)は人口640人(2020年6月末時点)、西ノ島と中ノ島を含む隠岐島前3島の南側にある自然豊かな島です。迫力ある自然が魅力の一つで、ざっくりとえぐられた赤褐色の断崖絶壁「赤壁」は国の天然記念物に指定されています。
知夫村では、2017年度より小学校5年生~中学校3年生を対象とした「知夫里島島留学」を開始、留学生はハウスマスターの元で寮生活を送ります。
ここでは元留学生と知夫村教育委員会の担当者のお話を紹介します。

「地域の方との交流が留学の魅力」

元留学生
吉田陽(よしだ・はる)さん

中学2〜3年の2年間、出身地である大阪から知夫里島に留学しました。自分は小さい頃から海が好きだったので、知夫里島は海も山もあり、釣りもできるのがいいなと思いました。

留学前に短期体験で初めて島に渡った時、島の人が優しく、島全体で受け入れてくれる気持ちが伝わってきました。

寮生活は毎日が楽しかったです。友だちとたわいもないことでケンカしたこともありましたが、ハウスマスターさんに話を聞いてもらったり、話し合ったりしながら解決しました。寮生活の最後には、気持ちの伝え方などをお互いに気を付けるようにもなって、とても良い体験になりました。

学校生活は、生徒の人数が少ないのできめ細かく学べ、先生にも積極的に質問できるようになりました。「先生と話そう週間」では、プリントに自分が話してみたい先生の名前を書いて、先生とじっくり話をしました。それがきっかけで仲良くなり、休み時間に野球をしたり、先生の自宅に遊びに行ったこともありました。

夏にはキャンプをして、地域の人と竹を切り出して自分たちで筏(いかだ)をつくったり、その筏で無人島まで行ったことも良い思い出です。

寮の食事をつくってくださる地域の人や、学校の体育祭に参加してくださる地域の人とも親しくなりました。家に遊びに行って食事をごちそうになったり、試験勉強をさせてもらうなど、第二の家族のようでした。

毎年9月に行われる「皆一(みないち)踊り(※)」など、島の行事には必ず参加しました。地域行事に参加するのは知夫里島が初めてで、これも大阪ではできない島ならではの体験でした。

※郡地区にある天佐志比古命神社(あまさしひこのみことじんじゃ)で毎年秋に踊られる郷土芸能

留学を経験したことで変わったことは「自分から積極的に勉強するようになったこと」「人見知りが克服でき、自分から人に話しかけられるようになったこと」「挨拶がしっかりできるようになったこと」「相手のことを考えて行動できるようになったこと」「洗濯や料理など家事を自分でやるようになったこと」などです。

留学生活で生きるために必要な基本的なことを教わったと思います。

留学の最初の頃は、「家に帰りたい、学校に行きたくない」「来年はいない」と思っていました。でも、地域の人と交流するうちに「来年も残ろう」という気持ちに変わりました。島の方は留学生を家族だと思ってくれるので、お互いに親しくなれます。

留学が終わって島を去るときは悲しかったですが、島の人たちが港まで送りに来てくださって「がんばれ、また来いよ」と声をかけてくれました。

知夫里島は人が優しく、ご飯も美味しくてきれいな場所です。留学生活がしんどいのは最初の方だけで、最初にがんばったら必ず楽しくなります。これから留学する皆さんにも、地域の行事など、知夫里島でしかできないことを全力で楽しんでもらいたいです。

「また知夫に戻ってきたい!と思う知夫の子どもに育ってほしい」

元知夫村教育委員会 教育次長(現・知夫村役場総務課 課長)
高田英治(たかた・えいじ)さん

知夫村の島留学では、地域行事への参加はもちろん「寮生活の中で行われる100の約束」として、留学生がこの島にきてやりたいこと(釣りや海で泳ぐなどの自然体験全般)を、地域の方の力を借りながらできるだけ達成する、という取り組みを行なっています。

学校の授業として行われる「子ども議会」では、子どもたちが考えた地域づくりのアイデアを村役場に議会方式で提案します。島留学の生徒募集イベントにも参加してもらい、島のスタッフと一緒に募集PRを行なってもらうなど、地域づくりも経験してもらっています。

知夫に留学したわずかな時間を通じて、島の住民の優しさを感じながら生活をし、知夫を離れる時に「また、知夫に戻ってきたい!」と思う知夫の子どもに育ってほしいと願っています。


〈知夫村の「知夫里島島留学」概要〉

※新型コロナウィルスの影響により、令和3年度の新規留学生の募集は停止します。

【受入学校名】 知夫小中学校
【対象】令和4年度 小学校5年生〜中学校3年生
【受入体制】 合宿型(島の寮などから通学)
【留学期間】令和4年4月1日〜令和5年3月31日
※継続可能。継続をご希望の場合は、継続審査があります。
【募集時期】令和3年4月~11月末
【選考会】令和3年12月予定
(※選考会までに、こちらの指定する短期留学体験に参加して頂いた方で、一次書類審査で合格した方)
【説明会・体験入学】 オンライン説明会又は東京、大阪会場等にて行う予定。
島留学短期体験(令和3年度に1泊2日〜2泊3日で来島)
【説明会・体験入学の開催日時】令和2年7月〜11月
(これ以降も随時行いますので詳しくはホームページでご確認ください)、複数回実施予定。
【詳細URL】 http://www.vill.chibu.lg.jp/gyosei/life/needs/needs03/77
【問合せ先】知夫村教育委員会 電話:08514-8-2301

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特集|離島留学
人口減少により休校・廃校となる島の学校が増えるなか、島外から児童生徒を受け入れる「離島留学」を行う学校が増加しています。 離島経済新聞社では、少子化という島の緊急課題と、都市部の親子のニーズを引き合わせる離島留学・離島通学を、島の未来をつくる希望と捉え「離島留学」を特集しています。(当記事は、「子どもたちが暮らせる島づくり」をコンセプトに明るい島づくりを推進する「島の未来づくりプロジェクト」のサポーター会費やご寄付をもとに制作しています)

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