つくろう、島の未来

2020年10月29日 木曜日

島根半島の沖合約60キロ・隠岐諸島に浮かぶ中ノ島(なかのしま)は、人口2,224人(2020年6月末時点)の島。町名である海士町(あまちょう)の名で知られ、独自の地域づくりや隠岐島前高校からはじまった高校魅力化プロジェクトなどが注目を集めています。

海士町では「島のもの・こと・ひとにふれ、親子の絆を深め、島を第二の故郷としてほしい」と、2017年より、小・中学生の親子を対象とした「親子島留学」を開始しました。今回、2019年に親子留学を体験したお母さん・山下千恵さんにお話をうかがいました。

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留学先の海士町が親子にとっての第二の故郷、何度でも帰りたい場所に

子どもと親子留学を体験したお母さん
山下千恵(やました・ちえ)さん

2019年4月~2020年3月の1年間、小学校2年生だった長女と、小学校6年生だった長男と母子3人で親子留学をしました。

自宅は東京23区内にあり自然とは縁がない場所ですが、私や夫が幼い頃に経験した自然体験が忘れられず、子どもたちにも自然がたくさんある場所で育ってほしいと思っていました。そうした理由から山村留学にも興味はありましたが、子どもたちと離れて暮らすのはさみしいなと思っていたところ、海士町の親子留学を知りました。

長男には「友だちと一緒に卒業できない」と言われましたし、長女は小学校に通い始めて友だちができたばかりで、留学に積極的ではありませんでした。けれど、いざ留学してみると、さまざまな体験を通して、二人とも島での生活を楽しむようになりました。

長男は、島の学校行事でキャプテンなどの役割が与えられました。東京では人の後ろに隠れているタイプでしたが、役割をやり遂げられたことで「自分にもできるんだ」と気づくことができました。長女も海遊びで「深くまでもぐれるようになった」と言い、島の自然を通じてさまざまな経験を得たことで自信がついたようです。

また、東京では近所の人ですらどんな人か分からず「知らない人についていっちゃダメ」というのが当たり前でしたが、島には知らない人がおらず、地域の人が優しくて、必要な時に自然と手を差し伸べてくれることに感激しました。

都会では自分のことばかり考えていましたが、島ではたくさんの人にモノや心をいただいて、今ではどうしたら島の人にお返しができるか、喜んでもらえるか、と考えるようになりました。親子留学を通じて、私自身も幸せな時間をいただきました。

子どもたちも地域の皆さんにかわいがってもらって、家族でない大人も身近な存在になりました。長女は島の印象的なところを「人が優しい」と言っています。私も「人って温かいものだし、協力し合える関係なんだ」ということが身に沁みました。

海士町の考え方は「ないものはない」です。島にはコンビニがないなど、不便なこともありますし、東京の方が便利です。でも不便はデメリットではないと思いました。不便だからこそ、自分たちで考えて色々なことにチャレンジしましたし、海士町と東京と、どちらのよさも体験できたと思っています。

海士町は私たち親子にとって第二の故郷であり、何度でも帰りたい場所になりました。長女は「また島留学がしたい」と言っています。新型コロナウイルスの影響が続く今は、気軽に島を訪問することもできませんが、世の中が落ち着いたらすぐにでも、できれば明日にでも、親子で第二の故郷である海士町にわたって、島の海で泳ぎたいですね。

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〈海士町の「親子島留学」概要〉

【受入学校名】海士小学校・福井小学校、海士中学校
【対象】 令和3年度に一番上のお子様(高校生以上を除く)が小学校2年生〜中学校2年生である児童生徒とその保護者
【受入体制】 親子型(親子で島に移住して通学)
【留学期間】令和3年4月1日〜令和4年3月31日 ※継続を希望の場合は応相談
【募集時期】令和2年7月〜10月20日
【説明会・体験入学】 オンライン説明会、島育体験(1泊2日で来島)
【説明会・体験入学の開催日時】令和2年7月〜9月
【詳細URL】 https://ama-oyakoshimaryugaku.amebaownd.com/pages/1005131/outline
【問合せ先】海士町教育委員会 電話:08514-2-1222

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特集|離島留学
人口減少により休校・廃校となる島の学校が増えるなか、島外から児童生徒を受け入れる「離島留学」を行う学校が増加しています。 離島経済新聞社では、少子化という島の緊急課題と、都市部の親子のニーズを引き合わせる離島留学・離島通学を、島の未来をつくる希望と捉え「離島留学」を特集しています。(当記事は、「子どもたちが暮らせる島づくり」をコンセプトに明るい島づくりを推進する「島の未来づくりプロジェクト」のサポーター会費やご寄付をもとに制作しています)

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