つくろう、島の未来

2020年04月05日 日曜日

四国の太平洋側に浮かぶ沖の島(おきのしま|高知県宿毛市)にある沖の島小学校は、2004年4月に小中一貫校として創立された。当時、高知県教育委員会指定の「新しいタイプの小中連携推進校」として大きな期待を受けていたが、2010年度に児童数がゼロに。わずか6年で休校となった。

2012年、幼児から小学生までの子どもを持つ出身者がUターンしたことをきっかけに、児童数1人で小学校が再開。園児4人のために沖の島保育園も新たに併設された。

その後、子育て世代のUターン者が増えたことで、2019年度は小学1年生、3年生、4年生2人、6年生1人の合計7人が在学。2人の幼児が保育園に通っている。

※この記事は『ritokei』30号(2019年11月発行号)掲載記事です。

沖の島(高知県)

沖の島小学校の再開時にたったひとりで入学した保木いづみさんは、昨年、8年ぶりの卒業式でその門出が祝われた。現在は、島外の中学校に通学しているが、2020年4月からは沖の島で中学校も再開する予定のため、島の中学校に通うこともできるが、(宿毛市に家族で転居しているので現実的には不可能のため、修正必要)現在5人という沖の島小中学校の教職員も3~4人増員になる予定という。

沖の島小学校に勤務し4年目となる吉本千史(ちふみ)校長は、「中学校が再開することで島の人たちにも活気がでると喜ばれています」と語る。

沖の島小学校の運動会では、保育園や地域の人も参加するため、学校の存在が地域全体のにぎわいを醸成している。転勤していった先生も島の運動会になると島を訪れ、運動会に参加。子どもたちは先生との再会を楽しみに、運動会の練習に力をいれている。

宿毛市教育委員会では市内の学校を訪問するタイミングを、2年に1度、運動会に合わせているという。市の教育行政に関わる皆が運動会に参加することで、島に学校が存在することの意義が認識されるとともに、島内外の人が交流する機会が生まれている。

吉本校長は「教頭や主任もいないので、ホームページの更新などがなかなかできず、教育委員会の協力で再開しています」と話しながら、子どもたちの笑顔あふれる学校生活を発信することで、「ひとりでも多くの移住者に来て欲しい」と願う。

吉本校長は、2017年の夏に東京で開催された「小さな音楽会コンクール」に全校児童6人で挑戦した思い出を振り返る。島外の音楽家によるサポートを受けながら、手作り楽器を使った音楽を発表するため、新幹線や飛行機を乗り継ぎ、上京。全国2位に当たる銀賞に輝いたことで、人前で子どもたちは大きな自信を得て、大きく成長したという。

「全国的に話題となり島の人も喜んでくれました。子どもたちの頑張る姿が島の人を元気づけたように、これからも学校を島の活性化につなげたいですね」(吉本校長)

(取材・武原由里子)

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特集|島にみる再生復活という希望
台風、噴火、地震、津波、人口減少、人口流出、産業衰退に学校の統廃合etc……。自然の猛威や社会変化により、昨日まであったものが無くなることもあれば、じわじわと姿を消すこともあります。自然災害の多い日本列島では毎年のように台風や豪雨、地震などの被害が起き、地域を支える人口減少にも歯止めはかかりません。 島から無くなろうとしているもの、あるいは無くなってしまったものの中には、人々の生活やつながり、心を支えていたものも含まれます。失ったものが大事であるほど、心に大きな穴があき、寂しさや悲しさ、無力さがその穴を広げてしまいます。 とはいえ、絶望もあれば、希望もある。有人離島専門フリーペーパー『季刊リトケイ』30号と連動する「島にみる再生復活という希望」特集で、島々で実際に起きている希望に目を向けてみませんか?

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