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【編集部員石原の島酒日記】野草の香りあふれる与那国島の長命草酒で端午の節句

リトケイ編集部の島酒担当記者、石原です。「島酒日記」では、取材をしながら出会った島酒や島酒の造り手さんたちのこと、島酒の楽しみ方などを徒然にお話ししています。薬草の強い香気に健康と厄除けを願ったいにしえの端午の節句にちなみ、与那国島(よなぐにじま|沖縄県与那国町)の「長命草酒(ちょうめいそうしゅ)」を取り寄せて楽しみました。

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現代では「こどもの日」として祝われる5月5日。
「端午の節句」とも言われ、元々は古代中国の暦法で定められた季節の変わり目である「五節句」の1つで、「端午」とは5月の「端(はじめ)」の「午(うま)の日」にあたります。日本で「牛」は「ご」と読み、数字の「五」に通じることから、奈良時代以降5月5日が「端午の節句」として定着したそうです。

また「端午の節句」は「菖蒲の節句」とも言い、古代中国ではこの時期に薬草を摘んだり、菖蒲酒を飲んだりして邪気を払い、健康を祈願したと言います。 日本でも1,400年ほど昔の611年(推古19年)5月5日に、推古天皇が「薬狩」と称し、薬草を競い採取した記録が『日本書紀』に残されています。

こうして古来より薬草の香りが病気や邪気を祓うと信じられたことから、5月5日は菖蒲やヨモギを軒先に吊るしたり、菖蒲湯に入ったりして、無病息災を祈願しました。

現代の端午の節句でも、柏餅や菖蒲湯、笹の葉で巻いた「ちまき」など、香りの強い植物が登場しますね。薬草の強い香気に健康と厄除けを願った、いにしえびとの心に思いを馳せつつ、今年の端午の節句は、与那国島で「一株食べれば1日長生きする」と言い伝えられる薬草「長命草」で造ったお酒を楽しむことにしました。

取り寄せたのは、与那国島に3軒ある泡盛蔵の一つ、合名会社崎元酒造所の「長命草酒」。昨年末に発売され、こちらの記事でもご紹介しました。

「長命草酒」は、古来与那国島の祭事には欠かせないお酒として全国で与那国島だけに製造が許可されている、アルコール度数60度の泡盛「花酒」をベースにした製法で造られています。

蔵元さんによると、泡盛と同じようにタイ米を黒麹造りし、泡盛酵母と水を加えて仕込んだもろみに、島内の「与那国薬草園」で栽培された長命草を刻んで加え、更に発酵させたものを常圧蒸留(※)。

※常圧蒸……常圧(=1気圧)でもろみを蒸留する方法。沸点の高い香味成分が入り濃厚な風味になる

そして、蒸留の始めにとれる、原酒の中でも香りやコクの元になる成分が豊富な初留(※)だけを抜き取ります。もろみに長命草を加える以外は「花酒」の造り方と同じ贅沢な製法です。その後、飲みやすいように25度に割り水してから瓶詰めされています。

※初留(しょりゅう)……発酵させたもろみを蒸留して、最初に出てくる原酒。アルコール度数が高く濃厚な風味

53個の香気成分を含むという「長命草酒」の香りを楽しめるよう、香り立ちが良く飲みやすいグラッパグラスでいただきました。

グラッパグラスは、サイズが小さく、くびれた形をしているためアルコールが揮発しにくく、香りがグラスの中にたまりやすくなります。飲むときに顎が上がるので、お酒が舌の上に広がらずに細い流れになり、アルコールの刺激が和らぐのも特徴です。

スッとした清涼感のある香りは、長命草由来のもの。蔵元さんいわく「紅茶などに少し垂らすのもいいですよ」とのこと。お天気に恵まれたゴールデンウィーク、紅茶を淹れて保温タンブラーに注ぎ、「長命草酒」をひと垂らしして、お出かけしてきました。

左:亀戸天神から東京スカイツリーを望む/右:香取神社境内に展示されていた鎧兜


4月30日より5月6日にかけて催された大國魂神社「くらやみまつり」の大太鼓

初夏の陽気のもとで、お散歩が楽しい季節になってきたものの、夕方を過ぎるとまだまだ風が冷たく感じます。つい薄着で出かけてしまって冷えた体を、島酒入りの紅茶が温めてくれました。

近々「島酒日記」で、日本最西端の与那国島の風景や、島の文化としての「花酒」のことなども書いてみたいと思っています。
それではまた、良い酒を。


【関連サイト】
合名会社崎元酒造所

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編集部員石原の島酒日記

リトケイ編集部の島酒担当、石原です。取材をしながら出会った島酒や島酒の造り手さんたちのことを徒然にお話しします。

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