リトケイ編集部の島酒担当記者、石原です。「島酒日記」では、取材をしながら出会った島酒や島酒の造り手さんたちのことを徒然にお話ししています。
この夏、リトケイ統括編集長・鯨本あつこと島酒担当記者・石原みどりの共著『くじらとくっかるの島めぐり あまみの甘み あまみの香り 〜奄美大島・喜界島・徳之島・沖永良部島・与論島と黒糖焼酎をつくる全25蔵の話〜』(西日本出版社)が発売されました。
この本では、奄美大島に暮らしていた私が奄美群島の蔵巡りで感じたことや、黒糖焼酎造り手さんたちとの思い出などを盛り込みつつ、島酒担当記者として、奄美群島と黒糖焼酎について少しだけ専門的にご紹介しています。島やお酒が大好きな皆さんに読んでいただけたらうれしいです。
さて、そんな黒糖焼酎についての話題をお送りします。

先日、奄美黒糖焼酎語り部として初めてイベント出演した「奄美ナイト」の様子をご報告しましたが、8月下旬に行われたシマ唄の会で、トーク出演の機会をいただきました。その様子をお伝えします。
「奄美黒糖焼酎語り部」は、鹿児島県酒造組合奄美支部が主催する「奄美黒糖焼酎語り部養成講座」を受講し、筆記試験とテイスティング試験を経て認定されます。認定された語り部は、全国で110名(2016年8月現在)になります。今回のシマ唄の会では、私と語り部仲間の2人で黒糖焼酎をご紹介しました。

中華料理店を貸し切って催されたシマ唄の会
今回シマ唄を披露されたのは、東京でシマ唄教室に通う生徒さん同士で結成したユニット「サネンバナ」。神奈川県伊勢原市の中華料理店を貸し切ってのシマ唄の会は、20名程のお客さんでほぼ満席。奄美ではよくシマ唄の歌いはじめに歌われる「朝花節(あさばなぶし)」で、宴の幕開けです。
シマ唄のライブを挟み、私たち黒糖焼酎語り部による、黒糖焼酎トークタイム。今回は、奄美黒糖焼酎について簡単な説明と、お店で扱いのある2蔵をご紹介。プリントをお配りし、話に興味がわいたら後で読み返してもらえるようにしてみました。

お配りした資料(石原用)。トーク前にちょっとしたこぼれ話なども書き込みしておきます
黒糖焼酎は初めてというお客さんも多く、「黒糖が入っているのに、無色なのはどうして」「初めて飲んだ。黒糖焼酎は甘いんじゃないかと思ったら、甘くないんだね」など、たくさんの感想や質問がありました。
そう、黒糖焼酎は蒸留酒なので糖質はゼロ。色も無色透明なんです。黒糖焼酎の原料は、黒糖と米こうじ。米は糖質を含むし、黒糖は糖質のかたまりですが、原料に含まれる糖は酵母によって分解されてアルコールと炭酸ガスに変わり、もろみを蒸留することで色素や糖質は昇華せずアルコールと香味成分だけが抽出されるから、透明で黒糖由来の風味が豊かなお酒になるんですよ。

沖縄系の曲を演奏するときは、奄美の三線から琉球三線に持ち替えて演奏します
「オジー自慢のオリオンビール」を奄美流に替え歌し、「黒糖焼酎でディ乾杯〜!」あちこちの席で乾杯の杯が掲げられます。唄の合間には、サネンバナさんによる奄美を紹介するMCや、黒糖や黒糖焼酎を賭けたジャンケン大会も催され、場は大いに盛り上がりました。
(写真左)お店の黒糖焼酎ラインナップ/(写真右)勝者に黒糖焼酎が与えられるジャンケン大会
宴もたけなわ。徳之島の闘牛のことを歌った軽快な「ワイド節」につづき、奄美でいつも宴の最後に踊られる賑やかな「六調(ろくちょう)」を踊り、会場は一体感に包まれたのでした。
イベントが終わってからも、数名が残って夜が更けるまで黒糖焼酎の宴が続き、なんだか島にいるみたいで、ほっとした懐かしい気持ちになりました。 それでは、また。いい酒を。