つくろう、島の未来

2019年07月22日 月曜日

海から離れた地域で暮らす人にとって「海ごみ」は「遠い問題」とも感じられがちだが、それを間近に見つめる島々の人たちは、問題解決の糸口を日々探っている。島で海ごみを拾う8団体に「気になる海ごみ」と日頃の活動内容について聞きました。(取材・上島妙子)

漁網、プラスチックボトル、ビニールごみ(粟島/新潟)

粟島クリーンアップ作戦の活動風景

粟島では同じ日本海に浮かぶ佐渡島、飛鳥と離島交流を行っており、両島がクリーンアップ作戦(海岸清掃)を展開していたことにならい、粟島でもスタートしました。

ボランティアの参加は高校生以上を対象とし、新潟県内から多くの方が参加しています。離島地域の環境問題に興味がある方や、「粟島に一度来てみたかった」など参加理由はさまざまです。島内ボランティアは40~80代の方まで多くの方が参加しています。

参加者からは「自分の手で清掃することで海岸がきれいになってうれしい」との声が上がっていますが、毎年やってもごみの量が減らないことに課題も感じています。

プラスチックごみの投棄については、日本のみならず、世界的にも機運が高まっているところなので、ごみ拾いはもちろんですが、それ以前にごみを自然に捨てない努力をお願いしたいですね。(粟島浦村役場産業振興課 本保慎吾さん)

●団体名:粟島クリーンアップ作戦実行委員会
●開始年度:2008年
●参加者数/のべ人数:400人/4,310人
●ごみの回収エリア:粟島の海岸一帯
(2019年は茂崎海岸、小倉町海岸で実施)
●海岸清掃の頻度:年1回
(6月の第3日曜日。2019年度は6月16日)
●1回で回収するごみの量:4~7トン
●参加:要問い合わせ
粟島浦村役場産業振興課
クリーンアップ作戦実行委員会事務局
TEL:0254-55-2111
E-mail:clean-up@vill.awashimaura.lg.jp

プラスチック類(浮き等の漁具、食品容器など)、ペットボトル、流木(西ノ島/島根)

一般社団法人西ノ島町観光協会の活動風景

町内の回覧板やチラシの張り出しなどで告知を行い、島内ボランティアやお隣の海士町の隠岐島前高校の生徒さんなどが参加しています。

人海戦術でごみの収集を行い、トラック等に積込みを行い処分場へ搬入。完全にはきれいにできませんが「海岸がきれいになった」と聞くと活動をした甲斐があったと感じます。

20年ほど前と比べて近年は大型の漂着ごみ(魚を獲る網、大量のロープなど)が流れ着き、人力では対処しきれないものが増えてきています。 また、海岸で目を凝らすと細かい発泡スチロールなど、無限とも思えるごみが増えており回収しきれません。

漂着ごみ問題(海洋汚染)は離島地域に住む人たちだけでなく今や世界規模の大問題となっており、日本中の離島地域で海岸清掃が実施されていることと思います。

私たちの活動はその中でも微々たるものかも知れませんが、一人でも多く海洋汚染に意識を向ける人が増えることも重要と考えますので、これからも共に努力を続けましょう!(一般社団法人 西ノ島町観光協会 亀澤林大朗さん)

●団体名:一般社団法人西ノ島町観光協会
●開始年度:1998年頃
●参加者数/のべ人数:約80人/1,600人
●ごみの回収エリア:国賀海岸
●海岸清掃の頻度:年1回
●1回で回収するごみの量:3トントラック×5台分
●参加:歓迎!
TEL:08514-7-8888
URL:https://nkk-oki.com/japan/

灌木・流木、発泡スチロール片、飲料用プラボトル(答志島/三重)

22世紀奈佐の浜プロジェクトの活動風景

漂着ごみによる深刻な漁業被害について答志島の漁師から訴えがあったことをきっかけに、伊勢湾の漂着ごみの4分の1が集まると言われる答志島・奈佐の浜で活動を開始。

「5年後に奈佐の浜の漂着ごみの3分の1減、10年後に半減、100年後にごみゼロ」を目指して伊勢湾流域の環境団体が集まり、毎年6月に流域を学ぶエクスカーション、10月に海岸清掃と意見交換会、12~2月に流域各県での活動報告を行っています。

参加者は東海三県の環境団体の他に市民、学生、行政職員など。活動をきっかけに企業や団体が個別に島を訪れ、海岸清掃や島の方々との交流を行うケースもあり、近年では、東海三県の大学生・高校生が同プロジェクトの学生委員会を立ち上げました。

日本有数の漁場である伊勢湾の豊かさは、その流域に住む私たちの豊かさです。

今後は、流域住民の環境意識の向上や河川の愛護活動の継続などを通し、環境団体、市民、行政機関などが連携し息長く活動に取り組むことが重要と考えています。(22世紀奈佐の浜プロジェクト委員会・岐阜県委員 野村典博さん)

●団体名:22世紀奈佐の浜プロジェクト委員会
●開始年度:2012年
●参加者数/のべ人数:200人/3,800人
●ごみの回収エリア:奈佐の浜
●海岸清掃の頻度:年1回(10月第二日曜日)
●1回で回収するごみの量:400~600キログラム(流木を除く)
●参加:要問い合わせ
URL:https://www.facebook.com/nasanohama/

カキ養殖用まめ管、カキ養殖用パイプ、飲料用ボトルキャップ(プラスチック)(大三島/愛媛)

ビーチクリーン大三島の活動風景

運営しているゲストハウスの目の前にある海岸で、シーカヤックやSUPを楽しんでいる時にプラスチックごみがたくさん漂着していることが気になりだしたのをきっかけに活動を始めました。現在は月1回、午前中の1時間程かけて島内の台海岸などを清掃しています。

参加者は島内在住の20~40代をメインに、子連れの方や、私が運営しているゲストハウスに宿泊している方などが「ビーチクリーンに興味があった」などの理由で参加してくださっています。参加者には主に火ばさみを使って漂着ごみを集めてもらい、今治市の大三島支所まで車で運んでいます。

参加者からは「自分の手で海岸がきれいになる」と喜ばれ、やりがいもありますが、いかに漂着ごみを減らしていくかが課題ですね。

ビーチクリーンを通じて少しでも多くの方に漂着ごみ問題に向き合ってもらい、同時に行政主導で取り組んでいくことも必要ではないかと感じています。(ビーチクリーン大三島代表 藤田康祐樹さん)

●団体名:ビーチクリーン大三島
        (オーガニックゲストハウス&カフェOHANAin御島)
●開始年度:2018年
●参加者数/のべ人数:10人/100人
●ごみの回収エリア:島内の台海岸など
●海岸清掃の頻度:月1回
●1回で回収するごみの量:45リットルのごみ袋5~6袋分
●参加:要問い合わせ
TEL:0897-82-0023
URL:ohanaguesthouse.net

漁具、飲料用ペットボトル、食品の包装容器(馬島/山口)

馬島清掃団の活動風景

2011年頃から島内で子ども向けのキャンプを行っていたのですが、海岸にたくさんの漂着ごみがあることを目の当たりする一方、島の方から「昔はもっときれいな海で海水浴もできた」と聞き、次世代への気づきやきっかけになればと思い、活動を始めました。

参加者はほとんどが島外からで「北九州に住んでいるけれど馬島に行ったことがなかった」と島に興味を持って来られる方が多いです。

船の時間に合わせて、活動時間は2時間以内。参加者が集めた漂着ごみを、島の方の軽トラや漁船を使って対岸にある清掃工場のストックヤードまで運搬します。

馬島は13世帯35名の半農半漁の島ですが、こうした島の方の協力が活動の継続につながっています。きれいになった海辺を見ると達成感がありますが、漂着ごみは陸のごみからも多いので、各家庭や職場などでごみを減らす工夫が必要と実感させられます。

「益は無くても意味はある」と思い、できる範囲でできることから長く細く、継続実践することを目指し続けます。 (馬島清掃団 池本真一さん)

●団体名:馬島清掃団
●開始年度:2013年
●参加者数/のべ人数:100人/1,330人
●ごみの回収エリア:馬島島内の海岸
●海岸清掃の頻度:年4~6回
●1回で回収するごみの量:45リットルのごみ袋に100~200袋ほど
●参加:要問い合わせ
TEL:080-5203-5663
URL:umasima-clean.jimdo.com

漁具(網・ロープ・浮き・その他特殊部品) ペットボトル・タンク類、外国ごみ(海流のせい)(小値賀島/長崎)

りっぱカンパニーズの活動風景

毎月1回、2~3時間かけて海岸清掃をしています。参加者は20~30代の住民がメインですが、最近では少し上の世代も協力してくれています。告知を行うと10人以上集まる時も。

最初はUターン者を含めた地元の同級生たちが、島のために「りっぱかこと(よいこと)」をしたいという気持ちで始めました。次第に移住者などの参加も増え、みんなで頑張って浜がきれいになることや、定期的に顔を合わせ、気持ちよい時間が共有できることがやりがいになっています。

反面、ごみの半分がプラスチック製の漁具である現実を見ると、小値賀町の基幹産業である漁業についても考えます。「魚を捕って売る」「魚を食べる」ことを人類として見直すべきでは、と。同時に、大量のプラごみを出す現代社会のライフスタイルの改善も必要です。

ぜひ島外の方にも島に来てもらい、島の現実を実際に見ていただきたいです。(りっぱカンパニーズ 横山桃子さん・歌野杳さん)

●団体名:りっぱカンパニーズ
●開始年度:2011年
●参加者数/のべ人数:3~10人/約800人
●ごみの回収エリア:島内の海水浴場・観光スポット
●海岸清掃の頻度:月1回
●1回で回収するごみの量:軽トラック1~6台分程度
(場所、季節、人数などにより異なる)
●参加:要問い合わせ
MAIL:momojika323@gmail.com(横山桃子)

ネット、浮き、プラスチック片・発泡スチロール(屋久島/鹿児島)

屋久島観光協会の活動風景

「屋久島海祭り」は島の住民に屋久島の海や川に親しんでもらおうと、午前中に各集落の海岸や港の清掃を行い、午後はガイドと共にカヤックやSUPなどを楽しんでもらうイベントで、観光の方が飛び入り参加されることもあります。

毎年、アカウミガメの産卵と本格的な観光シーズンがやってくる前に合わせて開催しています(2019年は5月12日に開催)。開催時期の前には、それぞれの集落内で告知放送を流してもらっています。

集落の方には、普段なら回収しきれない大きな浮きやタイヤなども回収できると喜ばれていますが、観光協会としては、海や港をきれいにするために地域の方々が楽しみながらも一生懸命活動してくださっていることに感謝しています。

美しい自然がある屋久島の海岸からプラスチックごみや人工的なごみが少なくなり、絶滅危惧種でもある海洋生物を守るお手伝いが少しでもできることがやりがいです。(屋久島観光協会 浅田浩子さん)

●団体名:屋久島観光協会
●開始年度:2011年
●参加者数/のべ人数:最大1,000人~/9,412人
●ごみの回収エリア:各集落の海岸や港
●海岸清掃の頻度:年1回
●1回で回収するごみの量:ごみ袋の数で1,400個近く、重さ5,830キログラム
●参加:歓迎!
(海祭り当日に、宿泊施設などで清掃個所の案内あり。
  現地にて各集落の区長の指示に従うこと)
TEL:0997-49-4010
URL:www.yakukan.jp

硬質プラスチック破片、
漁業用フロート・ブイ、ペットボトル(宮古島/沖縄)

NPO法人宮古島海の環境ネットワークの活動風景

夏の暑い時期を除き、毎月1回、1~2時間程度活動しています。参加者は当団体会員や宮古島市民で、観光客が参加してくれる時もあります。

活動に興味を持った新規の参加者や学生が多く参加してくれたり、他のグループにも清掃活動が広がっていることに意義を感じています。

ただ、拾っても拾っても海岸にはすぐに大量のごみが。風向きなどにより海外のごみも多く漂着するため、島の人からは「海のごみは外国が悪い」という声も挙がりますが、太平洋の島々には日本のごみが数多く漂着している現実があり、宮古島では不法投棄も非常に多いことに課題を感じます。

海ごみ問題は近年では全国ニュースでも話題になっていますが、宮古島など沖縄離島に大量に漂着するごみの量は、沖縄本島を含め他の地域ではあまり知られていません。

海には国境がなく、ごみ問題は1つの地域だけで解決できるものではないため、多くの人に問題を知ってもらい、ごみの発生源を減らす活動を広げていってほしいです。(NPO法人宮古島海の環境ネットワーク事務局長 春川京子さん)

●団体名:NPO法人宮古島海の環境ネットワーク
●開始年度:2013年
●参加者数/のべ人数:20人前後/918人
●ごみの回収エリア:宮古島市内の各海岸
●海岸清掃の頻度:月1~2回
●1回で回収するごみの量:45リットルのごみ袋70袋~120袋ほど
●参加:歓迎!(団体の場合は事前に要問い合わせ)
TEL:080-5659-4189(セブンシーズ)
Email:miyako@econet.jpn.org
URL:econet.jpn.org

特集記事 目次

特集|島と海ごみ
四方を海に囲まれる海は離島地域では近年、「海ごみ」の急増に頭を痛める人が増えています。 海洋ごみ(本特集では海ごみと表記する)は主に、海を漂う「漂流ごみ」海岸にたどり着く「漂着ごみ」海底に沈み堆積する「海底ごみ」の3つに分類され、いずれも世界規模で解決が迫られる大問題となっています。 なかでも問題になっているのは、人工的に合成され、ほとんど自然に還らないプラスチックごみ。ペットボトル、発泡スチロール、漁業につかわれる網など。都市や田舎に限らず、現代の暮らしに浸透するプラスチック製品が、なんらかの原因で海に流れ出し、海を漂流し続け、島に流れ着いているのです。 紫外線を浴びて変質した微細な「マイクロプラスチック」は回収困難といわれ、多くの恵みを与えてくれる海が「プラスチックスープ」になると警鐘を鳴らされています。 海から離れた地域に暮らす人には、遠い話にも聞こえる海ごみ問題は、その一端を知るだけでも、現代社会の恩恵を享受するすべての人が関係する問題であることがわかります。 本特集では、そんな海ごみ問題を「島」の現状や取り組みを軸に紹介します。 この特集は有人離島専門フリーペーパー『季刊リトケイ』28号「島と海ごみ」特集(2019年5月28日発行)と連動しています。

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