閉じる ×

「島のことはリトケイで」
離島地域専門WEBメディア

離島経済新聞

 

レポート

【島Report】新宿の小学生が人口300人の離島を取材。「われは海の子フォーラム2016」(後編)

「われは海の子プロジェクト」は、海と魚の大切さを伝える活動を推進するNPO法人「海のくに・日本」(白石ユリ子理事長)が主宰するプロジェクト。東京都内各地の子どもたちが全国の離島を訪ね、暮らしや漁業、土地の歴史のことを学んでいます。
2012年度にスタートし、2015年度までに、奥尻島(おくしりとう|北海道)や粟島(あわしま|新潟県)、対馬島(つしまじま|長崎県)、与那国島(よなぐにじま|沖縄県)など、のべ17島で活動を実施。
2016年度は伊豆諸島の利島(としま|東京都)をテーマに、西新宿小学校(東京都新宿区)で出前授業が行われ、選抜された児童が実際に利島での現地取材を行いました。2017年3月18日に西新宿小学校で開催された「われは海の子フォーラム2016」におじゃましました。
(レポート前編はこちら)

築地市場の仕組みやまちの歴史を紹介「築地取材班」

「われは海の子フォーラム2016」の後半では、ニュース番組仕立てで島の報告を行った「利島取材班」に続き、利島で水揚げされた魚介の流通先でもある、東京の築地市場を取材した「築地取材班」齊藤 杏さん、駒井香保さん、土屋央奈さんの5年生3名が登壇しました。

取材班は、築地市場で扱う魚介の種類は480種類もあることや、年間の取り扱い金額で4401億円にものぼる流通の仕組みを解説。築地市場の中には郵便局もあることや、流通量の多さに「びっくりした」と、驚きを込めて伝えていました。

「350年前に海だった場所を埋め立ててつくられたことから『築地』と名付けられたこと」や「築地の波除神社(なみよけじんじゃ)に埋立てで犠牲になった魚たちが供養されていること」なども紹介しました。

また、築地市場で働く方や鯨料理店への取材で耳にした、「温暖化によって魚が獲れる場所に変化が生じていること」「捕鯨を制限したことでクジラが増えて生態系への影響が出てきていること」など、環境に対する問題提起もなされました。

取材班の3人は最後に感想を述べ、「築地市場は、中で働く人々が協力して築き上げている市場。日本の漁業を守るために地球温暖化や生態系などの環境の課題を解決することが必要だと思う」と結びました。

島旅作家・写真家 河田真智子さんのお話

講演「離島大好き! なっちゃんとの30年の旅」では、医療ケアを必要とする娘さんを育てながら島の写真を撮り続けてきた島旅作家・写真家の河田真智子さんが登壇。2016年秋に自費出版した沖永良部島(おきのえらぶじま|鹿児島県)の写真集『ひとりひとりが宝物』に収められたカットを紹介しながら「島で生まれ育った若い人たちに、生きていることの喜びを伝えたい」と写真に込める想いを語りました。

専門家や離島出身の方々によるお話

写真左:谷川尚哉さん/写真右:林清治さん

利島と築地を訪ねる現地取材に先立ち、2017年1月に西新宿小で行われた出前授業で講師を務めた谷川尚哉さん(中央学院大学地理学教授)は、「自分たちで課題を見つけ、調べてプレゼンテーションした今日の発表は、2020年度から小学校にも本格的に導入されるアクティブラーニング(※)を先取りした内容。特に、複雑な流通の仕組みが良くまとめられていた」と、子ども記者の発表を評価しました。

2014年度に教育事業を実施した粟島(あわしま|新潟県)から来場した林清治さんは、粟島の魅力や、離島留学を受け入れていることを紹介。利島出身の前田久美子さんは、「利島で生まれ育ったけど、初めて知ることもあり勉強になった。ありがとうございます」とお礼を述べました。

※教員による一方向的な講義形式の教育とは異なり、学習者の能動的な学習への参加を取り入れた教授・学習法の総称。2016年に改定された学習指導要領に盛り込まれ、2020年から実施が予定されている

子どもたちから未来へ向けたメッセージ

会の終わりに、子ども記者がそれぞれ心に描く「理想の海」の絵と「未来への提言」を発表しました。「にごりのない色鮮やかな海に、たくさんの魚が住めるように。との思いを込めて書きました」など、一人一人がメッセージを語り、来場者は真剣な面持ちで耳を傾けていました。

参加した児童は、活動を通じて、たくさんの人との出会いや、感動、深い学びを受け取った様子。2014年度のプロジェクトに参加した卒業生が語った「島へ行ったことで世界を見る視点が広がった」との言葉も、印象に残りました。

利島と築地を取材した子ども記者の発表から、都市と離島など遠く離れた産地とのつながりや、江戸時代から私たちの生きる現代に至るまでの由来など、遠く感じていたものに、つながりがあることも見えてきました。

2017年度も、新たな地域をテーマに実施される予定とのこと。次世代を担う子どもたちと島々との出会いがどんな化学変化をもたらすのか、乞うご期待です。

  • NPO_ban
  • bnr_shimanomado
  • 160824amaminoamami_bnr2
  • 170801_rito_camp_bnr_3
  • ランキング
  • 最新記事

新着記事

注目の話題>>

島を知る>>

島々の行事やイベント>>

島緑人に訊く>>

寄稿コラム>>

島々からの募集情報>>

季刊リトケイ