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レポート

【奄キャンものづくり #08】「島の味覚は届いたか?」生産者たちの振り返り座談会

奄美群島で行われている島の特産品づくり「奄キャンものづくり事業」。奄美大島、喜界島、徳之島、沖永良部島、与論島の5島でつくられている産品についてご紹介します。今回は、3月初旬に東京で開催された販売会後の座談会の様子をお伝えします。

「奄キャンものづくり事業(以下、奄キャン)」は、奄美群島で行われている特産品を育てるプロジェクト(主催:奄美群島広域事務組合)。平成24年度からスタートし、奄美大島、加計呂麻島、請島、与路島、喜界島、徳之島、沖永良部島、与論島の有人8島からなる奄美群島で特産品をつくる事業者に向けた継続研修を実施。奄美群島産品を育てています(事業のはじまりについてはこちらをご覧ください)。

3月7、8日に青山・国際連合大学前広場のFarmer’s Market@UNUにて開催された「島の味覚はいかがでしょう?奄美群島 特産品ふるまい販売会」。終了後、2日間を振り返る座談会を行いました。

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(写真右から)[奄美大島より]大和村 総務企画課 企画調整係長の大瀬幸一さん、まほろば大和生活研究所グループ和泉和香さん、泉 美保子さん [喜界島より]結いグループ喜界 体岡広美さん、体岡さんの妹で関東在住の菊池京美さん [奄美群島広域事業組合より]奄キャンものづくり事業 統括責任者 林健太郎さん

■コミュニケーションから得られた自信。そして課題も

――今回の出店で得た「収穫」はどのようなものでしたか。

林さん:

今まで経験してきた百貨店の物産展への出店に比べて、お客さんとのコミュニケーションが格段によく取れました。ここは狙い通りです。お客さんの層としても、食べ物全般への知識が豊富な方が多く、自分たちももっと商品についてよく知り、伝える言葉を持たなければいけないと実感しました。

体岡さん:

私たちには、「おいしい」の一言が聞けることがなによりの励みになり、気持ち的には、頑張ってきて良かったと思うには十分でした。ただ、事業者としてはそれだけでなく、参考になるアドバイスは辛口であってもとてもありがたいと思いました。今回は、「値段が高い」「ラベル表示にわかりにくい点がある」などの声があり、早速検討したいと思いました。

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写真左:奄美群島広域事業組合 奄キャンものづくり事業 統括責任者 林健太郎さん / 写真右:結いグループ喜界 体岡広美さん

大瀬さん:

それは私も思いました。大和村のすもも製品も、こちらがびっくりするくらい「おいしい」と言ってもらいました。しかし同時に、「糖度は何パーセントか」といった質問に、「すもも10キロに対して、ザラメは2キロ程度。味を確かめながら都度調整します」のように回答すると、「そのような曖昧な説明ではなく、何パーセントと数値で知りたい」と言われるなど、地元ではなかなか気づけない視点に接することができました。

和泉さん:

私たちのグループでは、パッケージ、ラベルをまさにこれからつくっていくところなので、どのような情報が求められるか、なにを全面にPRすべきかで本当に勉強になりました。もうひとつは価格設定。原価計算を行ったうえで、良心的な価格帯を選んだつもりだったのですが、この価格で説明なく店頭に並んでいたら、「安すぎて不安になる」という声もありました。商品の価値を認めてくれる人にとっての適正価格は、安いほど良いというわけではないと知りました。

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写真左:大和村 総務企画課 企画調整係長の大瀬幸一さん / 写真右:まほろば大和生活研究所グループ和泉和香さん

泉さん:

自信を持ってつくってはきましたが、都会の人にもその味が認められたのはうれしい限りでした。味は自慢できるものの、商売の面で私たちのグループは、てげてげ(鹿児島の方言で「いい加減」の意味)の代表みたいなもので(笑)、意識が低かったのです。奄キャンを通して学んではきましたけれど、いい意味での“商売っ気”をもっと大事にしないといけないと思います。そうでなければ若い人たちの雇用を生み出すための土台をつくれないですもんね。

■もっと“奄美”を浸透させ、共に盛り上げたい

――お客さんに商品の味を評価いただいた一方で、商品は「奄美大島」や「喜界島」と結びついていましたか。

林:

その点はまた、別の課題の発見になりました。アイデンティティの浸透が甘く、「奄美」の地名は知っていても、「奄美って沖縄?」との声も聞かれましたし、喜界島と奄美の関係性も理解されていないことが少なくないとわかりました。わかっていない方がいるのだと知ることができたのも、私たちにとっては収穫です。

菊池さん:

これはパッケージの改良にもつながると思うのですが、私たちのグループの商品では、「毎日・まめオレ」のデザインについて、かわいいと評価される一方で、“奄美”由来が伝わらないとも言われました。何を打ち出すかにもよりますが、確かに、奄美群島の喜界島というアイデンティティがぼやけているのはもったいないと思いました。

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写真左:結いグループ喜界 体岡さんの妹で関東在住の菊池京美さん / 写真右:まほろば大和生活研究所グループ 泉 美保子さん

和泉さん:

今回出会ったお客さんたちは、私たちがまさにターゲットにしてゆきたい層の人たちです。分かったのは、この層の人たちは、商品ひとつ一つのストーリーを大事にするということです。であればなおさら、商品が生まれた奄美のことを、商品を通じてもっと知ってもらえる可能性があると思いました。

体岡さん:

これまでも大和村の皆さんのことは知っていましたけれど、顔見知りの関係でした。それが今回の縁で、同じ奄美としての連帯感みたいなものが生まれました。大和村の商品の良さも知って愛着がわいたし、これからは奄美の商品として取り扱う機会をつくりたい。お互いに切磋琢磨し合って一緒になって奄美を盛り上げてゆきたいです。

■雇用を生み出し、地域おこしの一翼を担えるように

――最後にこれからの目標や抱負についてお聞かせください。

大瀬さん:

この2グループの経験は、奄美群島のほかのグループの刺激になるはずです。両グループには是非、ほかを引っ張るリーダーになってもらいたいです。

泉さん:

「大和村と言えばすもも」と浸透させて、それが村おこしにつながるよう、私たちのしてきたことが若い人の雇用につながるようにしたいです。

和泉さん:

今度は是非、生のすももを青山に持って来たい!奄美のすもものおいしさや希少性をたくさんの人に知ってもらうことは、生産者の意欲にもつながりますから。

体岡さん:

私たちが良い商品を自信を持って売ることで、生産者に安定的な収入をもたらし、喜界島の白ごま生産量日本一をキープしてゆきたいです。

菊池さん:

Made in 奄美、Made in 喜界島の魅力的な商品を送り出すことで、地域の知名度アップに貢献したいです。


イベント終了後、熱も覚めやらぬうちに開催した座談会であっただけに、力のこもった発言が次々に飛び出しました。お客さんからの意見には、どんなものにも真剣に耳を傾けて、より良い商品開発につなげようとする意欲は並々ならぬもの。「地元に雇用を」の目標に向けての熱い思いもしかり。これだけ前向きな発言のみで占められる座談会も珍しいと思います。出どころは、「一番おいしいものを届けたい」という純粋な気持ちと、やはり、地元への愛でした。胸を打たれ、奄キャンの今後に期待が膨らみました。

(聞き手・文/小林奈穂子)

離島経済新聞 目次

【奄キャンものづくり】奄美群島特産品づくりチャレンジ

「奄キャンものづくり」は奄美群島で行われている「特産品づくり」プロジェクト(主催:奄美群島広域事務組合)。奄美大島、加計呂麻島、請島、与路島、喜界島、徳之島、沖永良部島、与論島の有人8島からなる奄美群島で特産品をつくる事業者に向けた継続研修を通して、奄美群島産品を育てています。

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