つくろう、島の未来

2018年11月18日 日曜日

【仮設住宅での“桜餅とお茶会”ライブ】東京から南に1000kmの小笠原諸島・父島で、ウクレレ弾き兼ポストマンとして活躍中のホマレさん 。連載コラムでもおなじみのホマレさんは年に1度は本土へライブツアーへ出掛けるのがライフワークです。今年3月、昨年の震災で甚大な被害をうけた石巻へライブツアーへ行ったホマレさんの特別ルポです。

[5]仮設住宅での“桜餅とお茶会”ライブ

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ボランティアベースから、今度はフジコちゃんの愛車、
BMWで最初の会場へ向かう。

BMW!そうなのである。
生まれ育った石巻を離れ、仙台で生活していたフジコちゃんは、
震災直後の石巻へBMWで支援に乗り込み、
物議を呼んだのである。

が、そんなことは気にしない!
「さあ復興だ!」
の我らがフジコちゃん。

「ホマレちゃん着いたよ!」と、
移動すること30分ほどで最初の会場へ到着。
渡波北部第3団地集会所という名前の仮設住宅だ。

こちらは12世帯が暮らすと聞く。
そう!フジコちゃんは、僕がお願いした
「少人数の方が暮らすところへの訪問」を
ちゃんと覚えていてくれたのだ。

フジコちゃんの話だと、少数の仮説住宅へはマスコミは勿論、
有名人の訪問もないそうである。

集会所へは主婦やお年寄りの方が、
既に7人ほど集まっていてくださった。
奥の壁には「歓迎ホマレさん」と大きく書かれている。
なんと今日の日を楽しみに、隣の地区の仮説住宅から
来られた方もいるそうだ。
時間とともに人数は増え、今日は平日で、この界隈は入学式だったにも関わらず、
全部で25人ほどとなる。
この集会所にこんなに人が集まるのは初めてだと聞く。

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僕は日本地図を空に描き小笠原の位置から話し始める。
交通が週に一便、25時間半の船しかないこと、
もう泳げる日もあることなどを話して
少し小笠原のことを知っていただき、
小笠原古謡を演奏し、歌い始めた。
皆さん興味深く南洋の島の曲、生活の話を聞いてくださった。

数曲演奏したところで、僕も待ちかねていた桜餅とお茶の時間だ。

スマイル・シードが用意したお茶と、桜餅を皆さんと一緒にいただく。
春の香り、しかもなんだかめでたい香りが集会所を包み込む。

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そしてまたしばらく僕の演奏を聞いていただいた後、
お花を皆さんにお配りする。このお花は、埼玉県所沢の華道の田中先生が
震災の月命日に毎回用意され、
スマイル・シードの活動に合わせてお配りしているそうだ。
今日はその先生も駆けつけ、渡波北部第3団地集会所は人の笑顔も花盛り。

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そしてここでゲストを紹介する。
「てっちゃんどうぞ!」と声を掛けると
ポケットからハーモニカを取り出し吹き始める。
てっちゃんは、長身の真っ直ぐ伸びた腰が印象的な、地元の86歳!
現在(社)日本カーシェアリング協会のボランティアを行なっている。
実は「今日のスタッフの中にハーモニカを吹ける人がいます」と聞いていた僕。
演奏しながらこの人だなと感じて突然振ってしまったのだ。

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てっちゃんの演奏は全て唱歌。
「春の小川」から始まり「たきび」まで、四季を巡り演奏してくれた。
てっちゃんが既に用意していた歌集も配られ、
会場全員での合唱となった。

さあ僕が締める番だ。
手拍子をお願いし、オリジナル曲「ランデヴー」を唄い、
予定の二時間があっと言う間に過ぎ、
皆さんと握手をし別れを告げる。

車へと乗り込む。数人の方が見送りにきて手を振ってくれた。

車が走り出すとフジコちゃんが「ホマレ君見て」と指差す。
その先には新築されていく一軒家が続く。
そこは津波で全壊したが幸い新しい家を建てられる資金と土地の確保ができた方たちの宅地だ。
このことだけを聞くと「良かったですね」と声を掛けたくなる。
しかしそこは、まだ明日の生活も見えない仮設住宅で暮らす方の目の前である。

フジコちゃんは更に続ける。
「こんな落差あたし耐えられない!」。

誰が悪いというのではない。
現在の行政の対応では、問題にすらされないことなのだろう。

「うまく行かないねホマレ君、こんな現状が人の気持ちを通わなくさせる」
と、フジコちゃんはつぶやいた・・・。

>>[6]に続く。

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