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レポート

【島Report】宝島に油除去ボランティアへ。島旅イラストエッセイスト松鳥むう(後編)

ある日、リトケイ編集部に数々の島を訪れ島旅イラストエッセイストとして活動する松鳥むうさんから、「宝島(たからじま|鹿児島)に漂着した油除去ボランティアに行って来た」と連絡がありました。今年1月に起きた東シナ海のタンカー船衝突事故による重油が漂着した島々の現状が気になるリトケイは、松鳥むうさんにレポートを依頼。前後編でお届けします。
(記事前編はこちら)

荒木崎灯台からの1枚。この海岸沿いが今回の作業場でした

少しずつ戻りつつある宝島の海

トカラ列島最南端の宝島。ココは、珊瑚が隆起してできた島です。だから、海の色が天国かというくらいのコバルトブルーとターコイズブルーのグラデーション。

2015年ごろの大籠海水浴場。入るのも、もったいないくらいの透明度

ココ、大籠(おおごもり)海水浴場も、一時は黒い油が流れ着いた場所のひとつ。島の人が撮影した当時の写真を見ると、宝島とはまったく違うどこか知らない場所の景色を見ているかのような光景でした。岩にこびりついた油を手作業で削り取り、その後、専門業者さんが高圧洗浄というモノを使い、一連の除去作業がいち早く済んだ場所でもあります。

でも、今後もビーチに油が入らないように、念には念を入れて備え付けられた白い吸着シートが、海面をゆらめいていました。

海面にゆらめく吸着シート

宝島周辺の海の水質は、海上保安庁と村役場の調査上、現在、問題なしとなっており、水産関係のお仕事も、徐々に復活。1月末の突然の黒い油の襲来から、少しずつ日常が戻り始めているようです。

楽しむコトも忘れない!

ところで、今回、私がボランティアにお邪魔した時のメンバーが、これまた、いろんな人がいて、それも貴重な出逢いでした。

若いパワーがキラキラとまぶしい大学生陣、私と同じくアラフォー世代の社会人、そして、還暦を超えているであろうシニア世代。なんと、家族に例えると三世代!でも、なんでしょう。この年の差を感じない共同生活(ボランティアは、男女別相部屋で自炊の共同生活なのです。宿泊費&食費は無料)。

宝島という知る人ぞ知る島に自ら来たというコト、ボランティアという作業を一緒に行っているというコト。そのたったふたつの共通点だけで、垣根なく話せてしまう心地良さ。たまらない開放感を覚えます。

料理得意な人が主となり、みんなで、朝ごはんと晩ごはんをつくり、作業に持って行くお弁当もつくります。昼休憩に青い海と青い空を眺めながら、時折吹くそよそよとした風を火照った頬に感じつつ、岩場のほんの少しの日陰でみんなと食べるおにぎりの格別さったら!

この日は、チャーハンおにぎり♪熱中症にならないように、塩分はちょっぴり多め。

作業後の夕方。1時間程の限定的な営業時間でオープンする島唯一の売店でアルコールを買って、公園近くのベンチへ。ボランティアの面倒もよくみてくれる業者のおっちゃんやお兄ちゃんたちとボランティアメンバーとで、お疲れさまのぷち宴会のはじまりです。これまた、最高に清々しくて気持ちいいのです。もうすでに何カ月も一緒に過ごしているような感じまでしてくるのでした。

そして、これから……

たくさんの業者さんと島の人、ボランティアの力で、少しずつ元に戻ろうとしている宝島の海。油が原因で自分の仕事ができなくなった島の人もいます。自然と共存している島だからこそ、自然への影響が必然と生活にも大きな変化をもたらせます。同じ黒潮に囲まれた島国である日本に住む私たち自身にも言えるコト。他人事ではないなぁと思うのです。

島人の生活が少しずつでも、各々にとって良い状況になっていくといいなと願いつつ、新船「フェリーとしま2」に揺られ、奄美大島経由で帰路に着いたのでした。

2018年4月2日から運行した「フェリーとしま2」。女性専用部屋や授乳室、コインシャワールーム等もでき、女性やファミリー層にもやさしい船



松鳥むう(まつとり・むう)

イラストエッセイスト。今までに訪れた日本の島は84島。ユースホステルやゲストハウスに100軒以上宿泊。著書に『島旅ひとりっぷ』(小学館)、『ちょこ旅 沖縄+離島』『ちょこ旅 小笠原&伊豆諸島』『ちょこ旅 瀬戸内』(いずれもアスペクト)、『あちこち島ごはん』(芳文社)、『日本てくてくゲストハウスめぐり』(ダイヤモンド社)、『おばあちゃんとわたし』(方丈社)等。2018年夏には新刊『トカラ列島 秘境さんぽ』(西日本出版社)発売予定。

http://muu-m.com/

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