つくろう、島の未来

2019年03月20日 水曜日

弥生時代から大陸と日本を結ぶ要所として栄えた国境の島・壱岐島(いきのしま|長崎県)で、28年間途絶えていた清酒造りが復活。東京・赤坂で出来立ての新酒を披露する試飲会が開催された。

国際的なブランド産地・壱岐島

長崎県の玄界灘に浮かぶ離島・壱岐島は、日本最古の歴史書「古事記」のイザナギ・イザナミによる国生み神話にも登場し、弥生時代から大陸と日本を結ぶ要所として栄えてきた。

約500年前から焼酎造りが行われていたと伝わり「麦焼酎発祥の地」とも呼ばれ、「壱岐焼酎」は1995年に日本で初めてWTO(世界貿易機関)の原産地呼称制度(※)の認定を受け、「スコッチ」「シャンパン」などと並び国際ブランドとなっている。

※製品の原産地を明らかにすると同時に、伝統的な地域固有の製法及び製品を保護する目的で世界貿易機関が定める「地理的表示制度」に基づき認定される

また、島内に長崎県でも有数の平野を持ち、古くからコメづくりが盛んだった壱岐島では清酒も数多く造られ、明治時代に最大17社が清酒を製造。その後、市況の変化や杜氏の高齢化などにより清酒の製造は減少し、焼酎製造も行う重家酒造株式会社が1990年に清酒の製造を中止して以降、島内での清酒造りは途絶えていた。

かつて酒造元を指した「重家」の呼称を屋号とした、重家酒造の焼酎蔵(壱岐島)

壱岐島での清酒造りが28年ぶりに復活

重家酒造で清酒蔵の杜氏を務める、弟の横山太三さん

先代から重家酒造を受け継いだ横山雄三さんと太三さんの兄弟は、蔵を次世代に引き継ぐための新たな事業として、途絶えていた清酒造りを復活させようと決意。取引先の酒販店を通して知り合い、互いの蔵を訪問するなど交流のあった山口県の株式会社澄川酒造場に相談し、同社の協力を得て清酒造りに乗り出した。

初めは同社の酒蔵に泊まり込み、太三さんが杜氏となり清酒を製造。2014年に福岡産の山田錦を使い純米大吟醸「横山五十(よこやまごじゅう)」を醸造し、同年の「九州S1グランプリ」で準優勝を果たすなど高評価を得た。

2018年5月、横山兄弟は壱岐島に重家酒造の清酒蔵を新設。故郷の島に清酒造りを28年ぶりに復活させた。

ワインのように楽しめる新しい清酒を披露

来場者に銘柄ごとの製法や味わいの違いを語る、兄の横山雄三さん

壱岐島に新設された清酒蔵では、当初一升瓶で年間約10万本を製造予定。将来的には年間15万本程の製造を目指す。蔵のスタッフも、焼酎のみを製造していたこれまでの5名から12名に増員した。

12月13日、東京赤坂のCROSS TOKYOでメディアや料理店などを招いた試飲会が開催され、メディアや飲食関係者、ブロガーらが参加。壱岐島に誕生した清酒を味わった。

清酒「よこやま」シリーズは、全5種類。甘酸っぱい風味があり、銘柄により苺やメロンを思わせる爽やかな香りや酸味、微炭酸のテクスチャーなど、異なる味わいが楽しめる。

杜氏の横山太三さんは「海外展開も視野に入れ、ワインのように瓶ごと冷やして、グラスで楽しんでいただくイメージで造りました。清酒造りは米麹と麦から造る壱岐焼酎の原点。古の酒造りのロマンに思いを馳せながら飲んでいただきたいです」と語った。


【関連サイト】
重家酒造株式会社

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