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離島経済新聞

 

インタビュー

アートで列島をつなぐ!甑島の立役者④

課題を超えて、プロジェクトをもっと良いものにしていく。その先には島に暮らす人の「しあわせ」があります。林太郎くんが思い描く「しあわせ」とは?
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今年の目標と未来予想図

イサモト:このプロジェクトで、
「こうなったらいいな」という未来予想図はありますか?
林太郎くん:島で生きることを決めた人たちにとって、
自分のやりたいことと、島で働くことのバランスが
うまくとれるような世界をつくれたらいいなと思ってるんですね。
うちの姉ちゃんとか、副代表をやってる山下が、
2年前に島にやっと帰ってきたんです。
彼らはそれまで東京でも仕事をしてたりしたんですけど、
精神的なバランスをすごく崩してしていて、
自分のやりたいことをみつけられなかったんですよ。
でも2人の話を聞いていくと、
絶対に島で何かやりたいんだってことがわかったので、
「島に帰ってやりたいことをやったほうがいい」とアドバイスしました。

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(撮影:コセリエ)
イサモト:東京にいると、物理的な人との距離の近さとか、
毎日の忙しさに参ってしまって、
自分をちゃんと保てないっていうのは他の島でも聞ききました。
反対に島は、自分の精神的なバランスが取りやすいみたいで、
本当に自分がしたいこととか、島のための何かになるとか、
そういう事を自分なりに見つけて、
実行していきやすい場所なのかもしれないですね。
林太郎くん:そうですね。
このプロジェクトをすることで、
それぞれが少しずつできていけるといいなと思います。
プロジェクトがスタートして島に帰って来た人も少しだけどいますし、
その子がやりたいことが今は明確になくても、
この島に希望を持ててきたとか、
島でアートを軸にしながら実験的にいろいろやってみる中で、
それぞれが「やりたいこと」を見つけてくれるといいなと思っています。

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(撮影:コセリエ)
イサモト:このプロジェクトがすでに
「やりたいこと」を生んでいたりしますか?
林太郎くん:パンフレットにもあるんですけど
「こしきナイトツアー」は、ネイチャーガイドをしたい
っていう親戚が始めたプロジェクトなんです。
他にも、空き家をカフェにしてみたら、
案外お客さんが来てくれて、島の人も楽しんでくれたり。
自宅でお菓子作りしている人が島にいて、
その人は将来的にそのカフェで何か出せるようになるといいなとか。
そういうことを少しずつ織り交ぜながら、
プロジェクトそのものが、若い人にとって
何かしらトライできるような場所になるといいなって思います。
イサモト:高校がないから一度は島を出てしまうけれど、
島のことは好きだし、育ったところには思い入れがあるわけで。
そこがもっと住みやすい場所になって、
自分のやりたいことができる場所であれば、
みんな帰りたいと思いますよね。
林太郎くん:そりゃあ思いますよ。
イサモト:甑島にこのプロジェクトがあることで、
島に行けばこんなこともできるかもしれない!と、
夢を描けるようになったとしたら、すごいことですね。
ちなみに今年の目標ってありますか?

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(撮影:コセリエ)
林太郎くん:橋がかかる10年後まで待とうと思ってたんですけど、
実は、今年から下甑でも作品を展示しようと思ってるんです。
イサモト:なんと!
林太郎くん:昨年、下甑の人が上甑まで作品を見に来てくれたんです。
夏の一番忙しい時期に、民宿のオーナーたちが自分の民宿を閉めて、
船にのって上甑の民宿に泊まって。
イサモト:すごいですね。
ヤブシタ:観光を生業にしている人にとって
繁忙期に店を閉めるってことは、すごいこと。
林太郎くん:2〜3日も店を閉めてきてくれて。
ヤブシタ:夏しかやってないし、閉めないと見に行けないんだ。
林太郎くん:それを聞いて、
昨年、下甑をまわっていろんな人に会いに行って思ったんですよ。
「もう橋かかってるじゃん」って。
イサモト:なんか泣ける・・・。
林太郎くん:下甑に行くって言ったときも、
いろんな噂話を聞いたし、アーティストが滞在するわけだから、
何かあったらすぐに行ける場所じゃないとダメなんじゃないか
って考えたりもしたんだけど、
下甑の人たちと触れ合って話をして、これはもうできるなって。
だから、今年はやってみようと思っています。

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(撮影:コセリエ)
一同:いい!
林太郎くん:まずはひとつでもふたつでもいいから作品をおいて、
フェリーを使って、
上甑の人たちが見に行ってくれるようにしたいですね。
ヤブシタ:すごく楽しみですね。
林太郎くん:僕自身どうなるかすごく楽しみです。
それが今年の目標ですね。
ヤブシタ:もしかして、今までも下甑の人たちもいいな
って思ってたのかもしれないですよね。
林太郎くん:始めて1、2年は上甑でも
僕の住んでいた集落だけでやってたんで、隣の集落の人たちは、
隣村がやってることでしょ?みたいな感じでしたが、
2年前から隣村でもやりはじめたら、反応が全然違うんですよ!
ヤブシタ:違うというと?
林太郎くん:役所の人たちの中にもコアなファンがいて、
協力してくれる体制がすでに整っていたり。
イサモト:すごい影響力です。

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超えたい課題もあります

ヤブシタ:今までいいお話しか聞いてないんですけど、
何か「あちゃ〜」というような失敗談もあったりします?
林太郎くん:「あちゃ〜」ですか。
ヤブシタ:問題点とか。
林太郎くん:東京の若い人たちですかね。
ヤブシタ:アーティストやスタッフということ?
林太郎くん:女の子がタバコを吸ったりしているのをみて
島の子どもたちに悪影響があるんじゃないかとか、
島にきてテンション上がっちゃうのもわかるんですけど、
定員オーバーで車に乗ったりだとか。
ヤブシタ:マナーがなってないのかな?
林太郎くん:島のルールというか、定員オーバーは法律違反ですけど。
ヤブシタ:島ではなくて、社会人としてのマナーですね。
イサモト:島外の人からすると離島って
なんかいろいろと許されちゃうような気がする場かもしれなくて、
でも島に住んでる人がいて、そこにはちゃんとル―ルがあるわけだから
それを来る人にはちゃんとわかってもらいたいですね。

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(撮影:コセリエ)
林太郎くん:いくら言っても十分守ってもらえなかったり、
空き家を借りて、キレイにして返すっていうことができなかったり。
借りた時よりもきれいにして返すのがマナーだと思うんですけど。
ヤブシタ:続けていくためには徹底したいですね。
意識の問題だけだから、ちょっとしたことで代わるだろうし。
島の人と問題などはなかったんですか?
林太郎くん:このプロジェクト自体、
みんながボランティアでやることがほとんどなんですけど、
役所の人が何でもやってくれるんだと思っていて。
たとえば、知らないところで東京の美大生が教えてくれるという
「お絵描き教室」が企画されていて、
人も集まるんですが、「もちろんやってくれるだろう」ときても
「聞いてないよ!」となったり。
そういったことにも応えていくのが島では当たり前だと、
島出身の僕は思うんですけど
アーティストは島の人ではないから、
そこらへんのバランスが難しかったり。

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イサモト:当たり前の感覚が違うっていうのを、
どうわかってもらうかっていうのは、
どこの島も課題かもしれないね。
林太郎くん:僕らにとっての普通のことと、
島の普通が実は違うっていうのがありますよね。
イサモト:だって育った環境が違うんだから。
林太郎くん:でも、それを知れただけでも、
お互いにとってよかったかなって思いますね。
普通だと思ってたことが、普通じゃないんだってお互いが思える。
イサモト:課題ではあるけれど、
それが見えたってこと自体が良いですね。
ヤブシタ:そう。今までわからないことだったんだから。
林太郎くん:でも、もしかすると
そのままの方がよかったのかもしれない、
ということもあるかもしれないですけどね。
イサモト:だけど、実際には高校もなくなっているわけなので、
これからはいろんな人と交流していかない限り、
暮らしたい人がが暮らしていける島に
出来ないんいんじゃないかとも思います。
うまく他を受け入れていくことで、
みんながやりたいことをやりながら
生きて行けるよう島になっていったらいいなと。

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(撮影:コセリエ)

甑島と人の「しあわせ」とは

イサモト:林太郎くんにとって、島の人が
しあわせな状態ってどういう状態だと思いますか?
林太郎くん:やっぱり自分の時間とやりたいこと、
仕事とのバランスをうまくとれることが大事なのかなと。
だから、島でどういう風に生きていくかってことを
もっとみんなで話あえるといいですよね。
島にいると、経済的なわかりやすいことで
勝ち負けをつけたがるんです。
たとえば、あそこの民宿に10人泊まったからって、
10人で1人6000円で・・・
って儲けがすぐにわかっちゃうんですよね(笑)
そうなると、すごく小さな世界だし窮屈な感じがするんですけど、
そうじゃない価値観でも、生きて行けるといいなって思うんです。
イサモト:みんなで楽しく良い状況をつくっていけるような。
林太郎くん:究極的には、
アーティストが住める島になるといいですね。
そんな場所が一番しあわせなんじゃないかと。
アーティストが住める場所ってなかなかないじゃないですか。

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(撮影:コセリエ)
イサモト:農業とか漁業とか手伝いながら、
制作できて、それで暮らしていけたらすごくいいかも。
ヤブシタ:半農半アーティストみたいな。
イサモト:わりとすぐに自然と
そういう流れになっていきそうな気がします。
かなり具体的な未来かも!
大久保:2~3年後くらいに、
アーティストはみんな甑島を目指す・・・みたいな。
ヤブシタ:アーティストみんなが一度はそこを通過するような。
林太郎くん:そうなるとすてきですね。
いままで参加した作家たちが、
甑島のことをいろんな場所で話してくれていて、
ギャラリストやアーティストの中でも、「甑島に行くといいらしいよ」
というウワサは流れてるみたいなんですよ。
だから今度は、
「住むのもいいらしいよ」って話になるといいなって。
イサモト:実験的に1年くらい空き家を借りて住めます
っていうように、何人か募集してみるとか。
毎年、暮らしにくるアーティストがやってきて
1年間、島で活動してみて・・・って面白いと思う。

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ヤブシタ:アーティストレジデンス!
林太郎くん:廃校になってしまった学校をアトリエにしたりとか。
イサモト:住居は空き家をシェアしてとか!
林太郎くん:あとは、
東京でマーケットをつくってあげたいんですよね。
そうすれば、島でつくった作品が島でも購入できて、
東京でもちゃんと売買される状況をつくることができれば、
アーティストには、発表できる場もマーケットもできる。
イサモト:いいですね。
すでに私たちは甑島に興味津々です。
大久保:行きたい!
イサモト:自分の目で確かめたいです。
島とハイブリッドされたトサカたちも・・・(ドキドキ)。
林太郎くん:島の人たちにも話をもっと聞いてみたいです。
アーティストだけじゃなくて、島で生きている人たちに。

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イサモト:リトケイとしても聞いてみたいです。
林太郎くん:今年は下甑もありますしね。
初年度の190人から、
去年は700~800人くらいまで増えてはいて、
少しずつ増えてきているんですよね。
イサモト:今年の夏は甑島行っちゃいますか!

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(撮影:コセリエ)
一同:賛成!
ヤブシタ:行くならロングステイしたいですね。
林太郎くん:じゃ、空き家、準備しときますよ。
そうそう、昨年はじいちゃんの作品も展示したんで観てください。
ヤブシタ:今年は?
林太郎くん:もちろん出します。
ヤブシタ:おじいちゃんにも会いたい!
イサモト:おじいちゃんにインタビューしないと!
アーティストひとりひとりにも話聞きたいし。
林太郎くん:下甑の人にもインタビューしてみてほしいですね
どう思って見ていたのかとか。気になります。
イサモト:行きましょう!
一同:ぜひ!

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アートフェスで列島をつなぐー甑島の林太郎くんインタビュー

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