つくろう、島の未来

2024年04月19日 金曜日

つくろう、島の未来

3月10日、東京の建築設計事務所「HARBOR(ハーバー)」が出羽島(てばじま|徳島県牟岐町)にサテライトオフィス兼ワークショップ施設を新設。徳島県が取り組むサテライトオフィス誘致事業「とくしまサテライトオフィス・プロジェクト」に係り開設された。同事業は2012年3月に開始。現在まで県外41社のサテライトオフィスを誘致した。

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HARBORオフィス外観

出羽島の空き家再生を目指す拠点として運営

徳島県では、2011年7月に実施された地上デジタル放送への完全移行に際し、放送チャンネル数が10チャンネルから3チャンネルに減少することを受け、2011年までに県内でケーブルテレビ網を張り、2016年3月時点で5年連続でケーブルテレビの世帯普及率全国1位になった光ブロードバンド環境を整備した。この通信環境のもと、県内の空き家・遊休施設を活用した「とくしまサテライトオフィス・プロジェクト」を計画。2011年9月、神山町等で試験実施。企業から「ストレスなく業務を継続できる」「社員のワーク・ライフ・バランスを保てる」などの好評を得て、2012年3月から本格展開。

HARBOR代表の坂東幸輔さんは徳島県出身。2010年度、徳島県の空き家改修プロジェクトとして「ブルーベアオフィス神山」の改修に参画。2014年度、県内のグローバル人材育成を目的に取り組む「TOKUSHIMA英語村プロジェクト」のサマースクールが牟岐町で開催され、講師を担当。以来、牟岐町に縁がある。地域住民との交流の中、昔の街並みが残る出羽島で、神山町のような空き家再生を実践するため、同島にサテライトオフィス兼ワークショップ施設を開設した。

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HARBORオフィス内観

同施設は月1週間程度HARBOR社員が活用するほか、数日〜数カ月単位で都市部や海外のクリエイティブ人材・企業に貸し出す短期滞在施設「HARBOR出羽島」として運用される。同県は2015年度「地域活力創出『とくしまモデル』交付金」で、先述の短期滞在や島の仕事体験、社会貢献活動を通じた地域交流促進に取り組む「HARBOR出羽島-『はじめの一歩』の空き家再生まちづくりモデルづくり事業-」を採択した。

「とくしまサテライトオフィス・プロジェクト」を担当する徳島県地方創生局地方創生推進課の小溝良子さんは「豊かな自然と通信速度が東京の10倍とも言われる高速光ブロードバンド環境を持つ徳島を選んでいただいているようです。サテライトオフィスを開くのは通信環境が整っていれば業務のできるIT関連企業が多いです。地域の子どもたちへの出前授業を行う企業や、地域の課題に着目した新事業を進める企業など、進出企業が地域の担い手として課題解決に取り組む事例が生まれています」と話す。「出羽島でも、同様な展開が起こっていってほしいですね」(同上)。

徳島県では、サテライトオフィス誘致のため、場所を選ばずに仕事ができる働き方やライフスタイルを発信。今後も、出羽島を含む県内全域でサテライトオフィスの新設希望を募る。


【関連サイト】
Tokushima Satelite office promotion site
「Tokushima Working styles」

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