つくろう、島の未来

2019年04月20日 土曜日

全国の離島や山間部の小学校、中学校で行われている留学制度。域外に住む生徒が自然や地域教育が魅力な島での学習環境を求め、制度を利用している。留学制度に関わる方々に話を聞いた。

■「しまっこ」の向上心を刺激する。佐久島の「しおかぜ通学制度」

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三河湾に浮かぶ佐久島は、人口252人。一色港から船で約20分。島の中央部にある西尾市立佐久島小学校・中学校では小学生10名、中学生10名が学ぶ。2003年度に小規模特認校に指定され、学区外からも生徒が通学するようになり、現在は「しおかぜ通学制度」として、西尾市内全域から生徒を募集している。通学生を「しおかぜさん」、島の児童生徒を「しまっこさん」という愛称で呼ぶ。現在、佐久島小学校、中学校それぞれ3名のしおかぜさんが在籍。

本土から船で20分と比較的アクセスが良いことから、通学生は毎朝船で島に通う。佐久島小学校の嶋﨑校長は「同級生がいなかったしまっこさんが、勉強の好きなしおかぜさんや、運動の得意なしおかぜさんが島に来たことで、勉強や運動をもっと頑張ろうと主体性が増した」と話す。
しおかぜさんが島に来ることで、お互いに刺激し合い、向上心が高まるという。「現在、生徒が10名、教員が8名なので、全員で2チームつくって野球で対戦できるんです」(嶋﨑校長)

■半農半漁の久賀島で、一次産業に触れる留学制度を開始予定

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長崎県西方沖の五島市福江島から北東11.3キロメートルに浮かぶ久賀島は、人口395人の半農半漁の島だ。福江港から久賀島田浦港までは船で約30分。五島市立久賀小中学校は、現在小学生6名、中学生5名で複式学級の学年もある。

久賀島は二次離島(※)で、学校の存続に不安があることから、域外の生徒が 島の小中学校で学ぶ「留学制度」の導入を検討している。五島市教育委員会の都々木さんは「まだ検討段階ですが、島に留学に来る生徒は、里親として農業や漁業、畜産業をしている家庭にお世話になる予定です。一次産業に触れる機会があるでしょう」と話す。留学生は島の公民館が主体で活動している島巡りや海で遊ぶプログラムのほか、浜や展望台の清掃活動などにも参加する。

また、併設校だからこそできる取り組みとして、中学校の英語教科を担当する教員が、小学生の英語の授業も担当するなど、一人の生徒に対してきめ細かい教育できる環境もあるという。五島市教育委員会では今年の10月以降、留学制度を利用して、久賀島で学ぶ生徒を募集する予定だ。

人口の少ない島では、留学生は地域住民に見守られるなか、返事や挨拶などの基本的な礼儀を学ぶことができる。一方、受け入れる島側にとっては、同級生が少ないため競争心が生まれないといったデメリットを解消する一手になる。双方にメリットのある島の留学制度に今後も注目したい。

※二次離島……本土との直接の交通機関を持たない島嶼

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