つくろう、島の未来

2024年04月19日 金曜日

つくろう、島の未来

宮城県石巻市で現在、オリーブ栽培の北限への挑戦が行われている。技術支援として、香川県小豆島(しょうどしま)のオリーブ農園が協力している。

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オリーブを東日本大震災の被災地復興の象徴にしようと始まった取り組みで、石巻市の打診を受けた「アライオリーブ」(小豆島町)代表の荒井信雅(あらい・のぶまさ)さんが快諾。現地視察を経て、気候など条件面ではギリギリのところだが、雪が積もらない地域を選び、pH値を調整するなど適切な土質にすることで、栽培を可能にした。昨年6月に講習会を開いて、試験栽培が始まった。

現在は市内の北上地域、雄勝地域、網地島の3カ所で、計80本を栽培。オリーブには1,270種以上の多種多彩な種類があり、荒井さんはその中から強風や寒さに強い「ミッション」「マンザニロ」「ネバディロブランコ」「ルッカ」 の4種を選んだ。さらに同社から石巻市へ常駐の専門スタッフを1人派遣し、スムーズな協力体制を整えた。

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今年1月、荒井さんは石巻を再訪し、津波で大きな被害を受けた大川小学校周辺を新しい栽培の候補地として調査、可能だと判断した。これまでの栽培は成功しており、情報を集めて地域の拡大も視野に入れている。

荒井さんは「2010年11月に弊社を設立した直後のことで、東日本大震災発生時には支援ができませんでした。専門家の1人として、オリーブで復興に手助けができるのであれば、技術や情報提供を惜しみません」と力を込める。

「将来的には、石巻市でオリーブ栽培やオリーブオイル製造が産業として根付いて地元のみなさんの雇用に結びつき、いずれ国内外で石巻が『オリーブの街』と認知されるのが目標です。東京オリンピックの際には復興の証として、メダリストが授かる冠に、石巻産のオリーブが使われるのが私の夢ですね」(荒井さん)

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