つくろう、島の未来

2018年12月10日 月曜日

2013年夏、興居島で住民と訪問者の交流を生むプロジェクト「しまのテーブルごごしま」がスタート。島に暮らす住民独自の感覚を尊重する取り組みについて、運営者に聞いた。

■島の住民に学ぶ姿勢を大事に、島を新たな観光誘致の魅力にする

2013年に興居島(愛媛県松山市)でスタートした「しまのテーブルごごしま(以下、しまのテーブル)」がこの夏、3年目を迎える。統廃合により、使われなくなった松山市立泊小学校の旧校舎を拠点に、島の魅力を体験できるサービスを提供。島内外の人の交流を生む、いくつものプロジェクトが実行されている。

人口約1,300人の興居島は、松山市からフェリーで約10分。気候は温暖で、柑橘類が特産品。標高282メートルの伊予小富士をはじめ、豊かな自然が広がる。家族とともにしまのテーブルを運営する藤内宏次郎さんは、松山市の出身。松山市内に暮らしながら、島に通っている。

藤内さんは、前職で料理を中心にホテル、オーベルジュ(宿泊施設付きレストラン)、レストラン、ブライダルの総合職に従事し、さまざまな新規事業の立ち上げに携わっていた。ある時、愛媛砥部町に結婚式場と愛媛らしいオーベルジュを立ち上げるため、全国の都内有名ホテルやレストランをはじめ、箱根や九州、北海道、沖縄のリゾート型宿泊施設などを訪問するなかで興居島を訪れ、島の魅力を再認識した。藤内さんは訪問時の記憶を、「幼少の頃、父に連れられて興居島に来たことを思い出した。当時触れた島の方の心遣いに温かさを感じたことも蘇った」と振り返る。

2012年、藤内さんは、協働メンバーである建築家らとともに松山市へ旧校舎の利活用を提案し、1年かけてプロジェクトを立ち上げた。約2年は前職との掛け持ちで運営を続け、2015年春から専業とすることができた。

現在、しまのテーブルでは、島の住民独自の感覚と島外者の視点を合わせて新規事業を計画する「しまのラボラトリー」を実施している。「しまのテーブルでは、島の人から学ぶ姿勢を大事にしている」と藤内さんは話す。

ほかにも、島の特産品である柑橘類を使ったドリンクを提供するカフェや、電動アシスト付き自転車で島を巡る「しまのり in ごごしまサイクリング」など、島の魅力を体験できるサービスも提供。「土日祝日にサービスを提供し、島巡りの予約がなければ、平日は島の方との交流や週末の準備に当てている」(藤内さん)。

過去に開催したイベントでは、島外の人向けに興居島の昔の暮らしを展示した写真ギャラリーに、島の住民が集まった。「島の女性たちの口コミで、多くの方に足を運んでもらった。『なつかしい』『島外の方なのに、よくやってくれた』と喜ばれた。地区の婦人会に声をかけていただき、料理講習会の講師を務めるなど、新たな交流が生まれている。島の人々との距離が身近になってきた」(藤内さん)。

信頼関係ができてきたことから、「空き家を借り受けできるかもしれない。もしも借りることができたら、島外の人に宿泊してもらうことができる」と藤内さんは語る。

今後も、行政、島の住民と協力し、家族でしまのテーブルを運営していくという藤内さんは、「松山市の新たな観光誘致に有益な場所にしていきたい。また、後継者づくり、U・Iターンの促進に繋げたい」と3年目の抱負を語った。


【関連サイト】
「しまのテーブルごごしま」ウェブサイト

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