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【特集|在島WORK】“外貨”を稼ぎながら暮らす小さな島で確かな充実感を得る。男木島 額賀順子さん|在島ワーカー

島暮らしを選び、島に仕事を持ち込んだ「在島ワーカー」とはどんな人か? 7つの島に暮らす在島ワーカーに、仕事や暮らしについて聞きました。取材はすべてZOOMやSkypeなどのビデオカンファレンス(テレビ電話)を使用しました。『季刊リトケイ』25号特集「仕事はネットで。暮らしは島で。島の新しい働き方 在島WORK」連動記事です。

男木島 ウェブデザイナー 額賀順子さん

この夏、男木島(おぎじま|香川)で「WordCamp Ogijima 2018(ワードキャンプおぎじま)」という催しが開かれた。ブログやウェブサイトを作成するソフトウェアとして世界的シェアを誇る「WordPress(ワードプレス)」のカンファレンス(勉強会)として世界中で開催されているイベントで、参加者はワードプレスの利用者であるウェブデザイナーなど。瀬戸内海に浮かぶ人口160人の男木島が舞台になった裏側には、ある在島ワーカーの存在があった。

福島県出身の額賀順子さんは、大学卒業後に大阪の制作会社に入社したが、子どもを出産して1年が経つ頃、育児と仕事の両立に限界を感じてフリーランスに転向。2014年に、IT会社を営む夫と、夫の地元である男木島に移り住んだ。

額賀さんの本業はホームページ制作などを受託するウェブデザイナーだが、彼女は「男木島図書館をつくった人」としても知られている。

信号機もない小さな島に引っ越した額賀さんは、「島に住む人の助けとなり、訪れる人と島をつなぐ場所をつくる」ため、私設図書館を開館。その際にはクラウドファンディングも利用した。その動きは、ネット上でも話題となり、幅広いコミュニティに波及していった。

「私のSNSフォロワーにはワードプレス利用者の人たちも多かったんですが、男木島で図書館をつくっているうちに、『額賀さんが島に移住して図書館をつくり始めている?!』と話題になったんです」と額賀さん。その話題は海外にも届き、「当時、バンコクに住んでいたワードプレス仲間の西川さんが図書館づくりを手伝いに来て、そのまま『住んじゃおうかな〜』と言って、半年後にご家族連れで引っ越してきたんです」と、島に新たな移住者まで招いた。

西川さんは東京でのワードキャンプの実行委員長もしていた人。それゆえ「その時、日本に10人くらいしかいない日本での実行委員長の2人が男木島に居ることになり、ワードキャンプを男木島でやるのもおもしろいのでは? という話もあって実現に至りました」(額賀さん)。

男木島ではその頃、額賀さんら3家族が移住してきたことで、休校していた小中学校が2014年に再開。続く2016年には保育所も再開し、地域づくりの文脈でも話題を集めていた。その後も移住者は増え続け「また今年も移住者が来て、おもしろいですよ」と額賀さんは微笑む。

収入の95%がデザイナー業務で、そのうちの9割が島外からの受注

パワフルに活動しながら島暮らしを楽しむ額賀さんは、本業でも仕事の幅を広げている。「10年くらい前は、既存のパンフレットをウェブにしてくださいという依頼だったが、今はパンフレットとウェブと同時につくる仕事が多いので、紙媒体とウェブ媒体のデザイン業務をまとめて依頼いただくことが増えています」。

また、ウェブをデザインする場合もコンセプトから考える案件が増えたため、「ウェブサイトをどういう人たちに向けて、どういう風に育てていきたいのか?」とクライアント側と話し合いながら、1つのサイトやプロジェクトを育てている。

収入の95%がデザイナー業務で、そのうちの9割が島外からの受注。この割合を額賀さんは「外貨を稼ぐ」と表現し、「外貨を稼ぎながら島で暮らせたらいいなと思います」と話す。

「男木島は夕日がすごくきれいな島。毎日、ちょっとずつ違うので、1日1回見ることで区切りがついて、リセットされる。海があって、人が優しくて、1日1日をよかったと思える生活がすごくいいなと思っています」。

「生活の根っこみたいなことを大事にできている」暮らしの充実感

大阪での生活を振り返っても、そこに大きな不満があったわけではなかった。しかし、「自分の生活を大切にしている感じがなかったんです。朝起きて仕事して、打ち合わせしたり、事務所に行ったり、そうしている間に夜がきて、ご飯をつくるのがしんどかったら外食したりコンビニに行ったり。気がついたら夜中になっていました」という額賀さんは、「それはそれで楽しかった」と話す一方、島に暮らし始めてからは、家族揃って夕飯を食べるようになり、娘の話に耳を傾ける時間も増え、「生活の根っこみたいなことを大事にできている」と今の暮らしに確かな充実感を感じている。

フリーランスであれば小さな島でも仕事はできるが、クライアントがいなければ稼ぎを得ることができない。しかし、額賀さんは意外にも「島に来てからの方がクライアントが増えた」という。「差別化されるんです。都会には優秀なデザイナーさんがたくさんいて、そこで自分を見てもらうのは大変なんですが、島に来てからは男木島図書館のウェブサイトを見てもらったり、何かしら結果を残している人としてお仕事をいただくことも増えました」(額賀さん)。

受注する仕事のボリュームにはムラがあり、仕事が重なる繁忙期には朝から夜中まで仕事をすることもあるが、暮らしの場は男木島。美しい夕日にリセットされながら、日々を送っている。


ある1日のスケジュール/
07:00 起床、朝食など
09:00 メッセージ、メールチェック
10:00 図書館に移動。仕事や来館者との会話など
12:00 昼食
13:00 仕事
17:00 夕飯
21:00 集中したい仕事があれば夜も作業
24:00 就寝

島データ/
男木島(香川県高松市)
人口165人(H30.6月時点)
面積1.34km²

離島経済新聞 目次

『季刊ritokei(リトケイ)』25号「仕事はネットで暮らしは島で 在島WORK」特集連動記事

『季刊ritokei(リトケイ)』25号「「仕事はネットで暮らしは島で 在島WORK」特集掲載記事をはじめ、紙面にて紹介した記事のノーカット版等を、有人離島専門ウェブメディア『離島経済新聞』にて公開しています。

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