つくろう、島の未来

2018年11月19日 月曜日

長崎県五島市では、福江島(ふくえじま|長崎県五島市)沖で2016年4月より日本初の浮体式洋上風力発電所が稼動し、発電量を現在の2メガワットから2021年度までに22メガワットに増強する計画が進む。海峡を流れる潮の力を利用した潮流発電の実証事業も進行している。五島市で進むエネルギー自給の取り組みについて、市の担当者に話を聞いた。(写真提供:五島市)
(記事前編はこちら)
※この記事は、『季刊ritokei』23号(2018年2月下旬発行)「注目の島づくり特集」連動記事です。

風車のメンテナンス作業を行う島内企業の技術者

エネルギーを自給し雇用を創出する

五島市内では、風力発電設所の保守管理を行う企業「イー・ウインド」が2008年に発足。2016年春に福江島沖で日本初の商用運転が始まった洋上風力発電設備の保守管理にも携わり、10年目となる現在、約30名を雇用するまでに成長している。

地元の陸上風車や洋上風車のメンテナンスで培った実績と技術力が高く評価され、島外企業からも出張メンテナンス依頼を受け、島内外で活躍する。

洋上風力発電設備のメンテナンスは、船舶を使用し2人1組での作業となる。技術者の研修には数年を要するため、同社では国の地方創生推進交付金なども活用しながら人材育成に取り組んでいる。

五島市では、洋上風力発電の風車を10基まで増設し、発電量を現在の2メガワットから2021年度までに22メガワットに増強する計画が進む。エネルギー自給率の向上に加え、発電設備の保守管理に携わる技術者など、関連産業従事者の雇用創出も期待されている。

海峡を流れる潮の力を電力に

洋上風力発電の増強に加え、2016年より奈留島(なるしま|長崎県五島市)と久賀島(ひさかじま|長崎県五島市)の間の海峡「奈留瀬戸」で、環境省と経済産業省の連携による「潮流発電技術実用化推進事業」が進められている。

潮流発電では、約6時間ごとに向きを変えながらほぼ一定の早さで流れ続ける潮流の力を利用し、海底に沈めた発電機のタービンを回転させて発電する。天候の影響を受けやすい太陽光や風力などの再生可能エネルギーに比べて安定的に電力を供給できるのが特長だが、国内ではまだ確立されていない技術だ。

潮流発電には1.5メートル/秒以上の流速が適しているとされるが、五島列島の島々の間を流れる海峡では3メートル/秒を超える場所が複数存在し、実証実験の舞台もその一つだという。

計画によると、タービンの直径が約16メートルある世界最大級の潮流発電機を奈留瀬戸の海底に設置し、2019年度より実証運転を開始する予定だ。潮力発電機は1基で2メガワットの発電能力を持ち、年間で約2,000世帯分の電力供給を見込む。性能や耐久性の検証を進め、今後の実用化を目指す。

離島経済新聞 目次

『季刊ritokei(リトケイ)』23号 「島づくり」特集連動記事

現在、日本では「東京一極集中」「消滅可能性地域」「地方創生」といった言葉が踊り、離島地域に限らずさまざまな地域で振興策が促されている。そこで『季刊リトケイ』23号では島々の地域振興事情を特集。それぞれの島で人々が健やかに暮らしていくためには、どんな考えを持ち、何を実行すべきか。読者・有識者・島づくりの実践者の声をもとに、愛する島の未来を築く島づくりのヒントを集めました。特集記事はじめ紙面にて紹介した記事のノーカット版等を、有人離島専門ウェブメディア『離島経済新聞』にて公開しています。

関連する記事

ritokei特集