つくろう、島の未来

2024年03月19日 火曜日

つくろう、島の未来

島の祭に魅せられたカメラマンの島祭コラム「百島百祭」。今回は、伝統芸能や農業から生まれた民間信仰、独特の風習などが数多く残る淡路島 福良の大綱曳 後編。島々に息衝く、祭の魅力をお届けします。

兵庫・淡路島 福良の大綱曳 2

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いよいよ若者たちによる大綱曳となった。太さ20センチメートル、長さ300メートルの大綱だけに一直線に並べるだけでも一苦労だ。勝負が始まる前に、まるで龍のような立派な大綱を囲むように、円陣を組んだ曳手たちが気合を入れる。充分気合いも入っているはずなのだが、さらに気合いを煽るように、景気づけの水が四方八方からかけられる。こちらとしては、真夏の熱気を吹き飛ばすような激しい水しぶきからカメラを守るのも一苦労だ。

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勝負は均衡状態が続き、かけれる水も激しさを増していく。曳手たちの気合いの入ったかけ声に、それを後押しするように浴びせられる水や、まわりの人々の声援が重なり、大綱曳は最高潮を迎えた。真剣勝負にも勝敗が付いた頃、僕の体はかなり水を被ったが、なんとかカメラを守りきったようだ。今年は西が勝利したことから豊漁が期待できるらしい。

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ねじり鉢巻きにふんどし姿の若者たちによる大綱曳も終わると、餅投げが行われる。縁起ものの紅白餅をGETしようと、島人や帰省客たちが集まって、われ先にといくつもの腕が、空飛ぶ餅へと伸びる。。そういう僕も写真を撮りながら、紅白餅を1つGETすることができたので、これからのお盆島旅も良い事が起こりそうだ。

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夏の暑い一日を象徴するかのような、熱い男たちによる大綱曳は迫力があり、見ているこちらまで強引に元気にさせられるような力強さを感じる祭りだった。

◆祭情報◆
日程 毎年8月14日
場所 淡路島(兵庫県南あわじ市)

離島経済新聞 目次

【連載】百島百祭

野宿で日本各地の島を旅していた10年前、偶然出会った島の祭に魅せられたカメラマンの島祭コラム。島々に息衝く、祭の魅力をお届けします。

黒岩正和(くろいわ・まさかず)
写真家。21歳より、日本の島の風俗・祭事を撮影(2013年現在300島以上を撮影)。主な撮影テーマは、日本の島・山岳少数民族の風俗・メコン河流域の風俗・ 棚田などの稲作文化・戦国史跡など。
http://kuroiwamasakazu.com/

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