つくろう、島の未来

2024年03月19日 火曜日

つくろう、島の未来

野宿で日本各地の島を旅していた10年前、偶然出会った島の祭に魅せられたカメラマンの島祭コラム。島々に息衝く、祭の魅力をお届けします。

三重・菅島のしろんご祭1

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三重県鳥羽市沖、伊勢湾口に位置する東西に長い島・菅島。海女の多い島として知られるこの島には、【しろんご祭】という祭がある。「しろんご」とは、島の守護神である白髭大明神(しらひげだいみょうじん)の白髭が訛ったもので、数百年の昔から大漁と海上安全を祈願するために、菅島の人々によって受け継がれてきた海女の祭だ。その【しろんご祭】を撮影するために、鳥羽・佐田浜桟橋から菅島へと渡った。

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古くから「しろんごさん」と地元で呼ばれ、親しまれてきた【しろんご祭】は、白髭神社から参道の長い階段を下りた先にある浜・白浜(しろんご浜)で行われる。この白浜は一年を通じて禁漁区となっているのだが、この日だけは漁が許さる。沖合では大漁旗を掲げた船団がパレードしたり、浜では太鼓や浜踊りが行われ、祭気分を盛り上げていた。

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そんな中、ホラ貝の合図で白い磯着を纏った島中の海女が、いっせいに雌雄一対の鮑「まねき鮑」を獲るために競い合う。ベテランから若手まで、皆必死に「まねき鮑」を狙うが、なかなか簡単には見つからない。流れが激しく体力が奪われていく中、何度も海に潜る島の海女さん達の体力はすごい!

 

海女さんの白い磯着と磯桶が沖合に浮かぶ様はとても絵になる。事実、多くのカメラマンが撮影に来ていた。古くから続いている祭だが、イベントとしても定着してきているのだろう……。その時、沖合から雌雄一対の鮑「まねき鮑」が獲れたとの情報が入り、浜の動きが活発になった。

(「三重・菅島のしろんご祭2」へと続く)

◆祭情報◆

日程 毎年7月11日だったが、近年は7月11日に近い土曜日(2014年は7月12日)

場所 菅島(三重県鳥羽市)

離島経済新聞 目次

【連載】百島百祭

野宿で日本各地の島を旅していた10年前、偶然出会った島の祭に魅せられたカメラマンの島祭コラム。島々に息衝く、祭の魅力をお届けします。

黒岩正和(くろいわ・まさかず)
写真家。21歳より、日本の島の風俗・祭事を撮影(2013年現在300島以上を撮影)。主な撮影テーマは、日本の島・山岳少数民族の風俗・メコン河流域の風俗・ 棚田などの稲作文化・戦国史跡など。
http://kuroiwamasakazu.com/

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