つくろう、島の未来

2019年08月22日 木曜日

山口県周防大島出身の民俗学者 宮本常一氏の著書に導かれて、2013年2月より瀬戸内海の島、屋代島で周防大島町地域おこし協力隊として活動を始めた、島記者 三浦の島歩きコラム。

#04 スナメリに出会う前島

宮本常一撮影(昭和36年) / 周防大島文化交流センター所蔵

「日にひとり、ふたりの客しかおらんかった」という離島航路が活況を見せています。島の名前は前島、ある人は「まえじま」と呼び、またある人は「まえしま」と呼ぶ。「どっちが正解ってこともないんじゃない」と地元の人は言います。その離島航路、昨年の年間利用客は延べ3,000人超、今年度は5,000人を超えそうな勢いです(4~7月までの利用客数から勝手に推測)。人口わずか十数人の前島にいったい何が起こっているのでしょうか?

実際には、この前島ではなく、その前島航路で「スナメリに会える」というのが話題になったんです。前島周辺にスナメリがいることは昔から知られている話のようですが、2年ほど前から新聞やテレビでスナメリ出現が紹介されるようなり、紹介される度に多くの人が集まるという図式です。特に紹介された直後の週末や大型連休、夏休みなどは臨時便が出るほど大人気。

普段から「ミーハーじゃないからさ・・・」とか言ってる僕も、こりゃ見たいと思いますもん。やっぱり天然ものだからですかね。養殖より天然、水族館より自然の海。野生の動物ですから、水族館みたいに必ずそこに居るというわけではなく、運が良ければ見えるというのも人の心をくすぐりますよね。船長さんの話では、確率は5分の1だとか。結構確率低いけど、逆に燃える!ということで、立てた企画が「スナメリ見るまで毎日船に乗りつづける」というもの。

1週間くらいは通う覚悟を決めて、その初日に選んだのが8月14日(水)。夏休み中の息子を連れて行ってきました。舟券を買いに観光協会を覗くと「昨日大群が出たのよ~」とうれしそうな木谷さんですが、確率的にいうと今日はないかな・・・とテンション下がりました。まぁ、それでも行くしかないと、はじめの一歩を踏み出すために観光協会から徒歩1分の船着き場へ向かいます。

この日の船長さんは、息子のサッカー友達のお父さんでした。昨日が大群だったことを確認すると「え?そうなの?」とスナメリに対しては執着がない様子です。スナメリ観光のクルーズ船ではなく、離島と本島を結び、人を運ぶのが仕事ですから、それもそうかもしれませんね。

午前11時20分、出航。平日ながら15名ほどの乗客を乗せた船が、凪いだ瀬戸内の海を氷の上を滑るように進んでいきます。前島に暮らす人もいるかもしれませんが、ほとんどはスナメリ目当ての乗客でしょう。船が前島に近づくにつれ、みんなの期待が高まります。

 

「いましたよ!」船長の大きな声が聞こえたのは、港を出て10分ほど経ったころ。遠くに見えたスナメリに向かけてゆっくりと減速。遠かったけれど、スナメリの姿を見ることが出来てみなさんご満悦の様子でした。が、残念ながら写真は撮れず・・・。役立たずっ!

メリが見えた瞬間の1枚。凪いでますね。おや?

拡大してみると凪いだ海に黒い影が見えますね。スナメリに間違いないでしょう!ワンテンポ遅れといった感じですが・・・。

今回は何回もチャンスがあったのにちゃんと撮れなかったということは難易度の高い仕事なのではないか?ということで、島のカメラマン西山喬君を訪ね、写真を借りるお願いをしてみると、「僕も撮ったことないんですよ。あれは無理ですよぉ。あははぁ」とのこと。これは深追いすると酷い目に遭う判断し、「スナメリを見た」という実績をもって、本企画は終了と致します。

実は、これより前に2度ほど前島に渡ったことがあるのですが、戦績は2勝1敗、6割方スナメリを見ることができました。今回のコラムを読んで「スナメリ見たい!」と思った方は、結構期待していただけるかもしれません。

ただ、この航路で問題なのは、スナメリ目当ての乗客は船から降りずにそのまま本島に戻っていくこと。別に問題というほどでもないですけど、島からその様子を見る島の人たちは淋しいんじゃないかなぁって。島に足を踏み入れたら、次の船まで4時間戻れないとなると、なかなか難しいところではあります。

次回は、島記者三浦の「前島5時間滞在記録」前島でできるあんなこと、こんなことをレポートします。みなさんの前島上陸を後押しすることができるのか?お楽しみに。


〈前島データ〉

面積:1.09k㎡/外周:2.20km/人口:17人(15世帯)/高齢者比率:82.35%

※平成25年4月1日現在

 

〈周防大島~前島 町営渡船〉

大人270円/小児140円

便 久賀発 前島発 前島発 久賀発
1 7:10 7:30 7:35 7:55
2 11:20 11:40 11:45 12:05
3 16:00 16:20 16:25 16:45

問い合わせ先:周防大島町役場

離島経済新聞 目次

【連載】周防大島、宮本常一の島をあるく

山口県周防大島出身の民俗学者 宮本常一氏の著書に導かれて、2013年2月より瀬戸内海の島、屋代島で周防大島町地域おこし協力隊として活動を始めた、島記者 三浦の島歩きコラム。

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