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寄稿コラム

【島Column】百島百祭 #98 広島県・生口島 古き良き伝統に素朴さが交わる「名荷神楽」2

島の祭に魅せられたカメラマンの島祭コラム「百島百祭」。今回は、芸予諸島の中心・生口島(いくちじま|広島県)の、古き良き伝統に素朴さが交わる「名荷神楽」を3回にわたりお届けします。
(名荷神楽1はこちらから)

室町時代、生口島一帯では疫病が流行。加えて干ばつも起き、島民は凶作に苦しんだという。名荷神楽は、当時の名荷神社の世話役が、氏子の苦難を救い給えと、神前で幣(へい)と扇子を持って神楽を舞い、病魔退散と豊作を祈念したのが起源という由緒正しき神楽だ。

演目のひとつである「岩戸」には、天照大御神(あまてらすおおみかみ)が、弟、須佐之男命(すさのおのみこと)の乱暴に困り、天の岩戸の中に隠れて、世の中すべてが闇夜となるという場面がある。この演目では、須佐之男命のアクロバットな動きに観客から歓声が上がり、アットホームな雰囲気と瀬戸内の陽気が穏やかな気分にさせてくれる。

そんな中、名荷神楽でぜひ見たいと思っていた「三宝荒神(さんぽうこうじん)」が始まった。白の紙衣を着せた人形に御神酒を注ぎ、その色のにじみ方で神意をうかがうもので、託宣神事の一部を伝えるものと思われる。

御神酒を注いで、少しずつ顔を赤らめていく様は、さも人形が御神酒を飲んでいるように思えて、とてもユーモラスでおもしろい。だんだんと赤ら顔になっていく人形に、酒好きの自分を重ねてしまいそうになる。

境内に集まった氏子たちに思う存分、御神酒を注いでもらった人形は、誇らしげな姿となる。その姿は観客たちの笑顔を誘い、春の暖かな日差しの中、境内には優しい笑い声が響いていた。演者と観客が一体となって繰り広げられる神楽に、撮影しているこちらも、みるみる引き込まれていく。

●広島県生口島・名荷神楽3へと続く

◆祭情報◆
日程 毎年4月第一日曜日
場所 生口島(広島県尾道市)

離島経済新聞 目次

【連載】百島百祭

野宿で日本各地の島を旅していた10年前、偶然出会った島の祭に魅せられたカメラマンの島祭コラム。島々に息衝く、祭の魅力をお届けします。

黒岩正和(くろいわ・まさかず)
写真家。21歳より、日本の島の風俗・祭事を撮影(2013年現在300島以上を撮影)。主な撮影テーマは、日本の島・山岳少数民族の風俗・メコン河流域の風俗・ 棚田などの稲作文化・戦国史跡など。
http://kuroiwamasakazu.com/

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