つくろう、島の未来

2018年12月11日 火曜日

島の祭に魅せられたカメラマンの島祭コラム「百島百祭」。今回は、芸予諸島の中心・生口島(いくちじま|広島県)の、古き良き伝統に素朴さが交わる「名荷神楽」をお届けします。

三原市の南東約12km、芸予諸島の中心に位置する生口島は、古くは製塩・海運業が盛んで、物資の集散地として栄えた島だ。

近年は、瀬戸田のレモンや、ミカンをはじめとする柑橘栽培や、「島ごと美術館」など芸術の島としても有名。瀬戸内海に浮かぶ島々を7つの橋で結んだ「瀬戸内しまなみ海道」の中間に位置する。そんな島で伝統的な神楽(かぐら)が行われるということで、桜の咲くさわやかな気候のなか、しまなみ海道を渡り、生口島へと渡った。

因島から生口橋を渡ってすぐの「生口島北IC」を降り、対岸に流れる、因島の景色を眺めながら、海岸線を走り、名荷集落へと向かう。

名荷(みょうが)集落を見渡せる高台に、今回の神楽が行われる名荷神社があった。名荷神楽は毎年4月の第1日曜日に奉納されており、訪れた2017年の第1日曜日に当たる4月2日は、ちょうど桜も満開。春の麗らかな陽気が境内にあふれていた。

名荷神楽の舞は13部からなり、演目も古式を伝えているものが多く、「悪魔祓い」、「三宝荒神宮御縄(さんぽうこうじんぐうおんなわ)」、「剣舞」、「王子舞」などは特に伝統的な舞である。

明治元年までは「荒神舞」と称し、4年に1度の託宣をともなう荒神社の式年神事であった。しかし明治5年の太政官符で、神職の託宣関与が禁じられたため、神楽から託宣を除き、民間の人々によって十二神祇(じゅうにじんぎ)神楽として今日まで受け継がれてきた。

神社に着くと、太鼓や笛の音が聞こえ、すでに名荷神楽の演目が行われていることに気づく。慌てて機材を準備し、撮影を始めた。

◆祭情報◆
日程 毎年4月第一日曜日
場所 生口島(広島県尾道市)

離島経済新聞 目次

【連載】百島百祭

野宿で日本各地の島を旅していた10年前、偶然出会った島の祭に魅せられたカメラマンの島祭コラム。島々に息衝く、祭の魅力をお届けします。

黒岩正和(くろいわ・まさかず)
写真家。21歳より、日本の島の風俗・祭事を撮影(2013年現在300島以上を撮影)。主な撮影テーマは、日本の島・山岳少数民族の風俗・メコン河流域の風俗・ 棚田などの稲作文化・戦国史跡など。
http://kuroiwamasakazu.com/

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