つくろう、島の未来

2024年03月19日 火曜日

つくろう、島の未来

島々の高校生が手がけた記事を雑誌掲載する取り組みが始まっている。離島マガジン『島へ。』編集部が指導役となり、2017年は宮城県気仙沼市の離島・大島(おおしま|宮城県)で、2018年は宇久島(うくしま|長崎県)でプロジェクトを実施。長崎県立宇久高等学校で月1回のワークショップが始まっている。

宇久高等学校3年生10人が参加したワークショップの様子(画像提供:長崎県立宇久高等学校)

高校生が地元の島を取材し雑誌掲載

プロジェクトを企画したのは、海洋教育に取り組む仙台市の一般社団法人3710Lab(みなとラボ)。事業は、公益財団法人日本財団の助成を得て実施されている。

昨年度は、2018年度に気仙沼大島大橋開通を控えた気仙沼市で、高校生たちが地元の大島について学び地域の未来を考える機会をつくろうと企画。

2001年に創刊した離島マガジン『島へ。』編集部が編集や執筆を指導し、宮城県気仙沼(けせんぬま)市の宮城県気仙沼高等学校、宮城県気仙沼向洋高等学校、岩手県立一関工業高等専門学校の3校に通う7人の生徒が市内の離島・大島を取材し記事を制作。11ページの記事が、『島へ。』2017年12月号に掲載された。

気仙沼大島で島野菜について取材中する高校生記者たち(画像提供:3710Lab)

2018年は宇久島でプロジェクトを実施

今年で2年目を迎えた同プロジェクトは舞台を長崎県宇久島に移し、長崎県立宇久高等学校の3年生10名が参加。同校の「総合的な学習の時間」を使い、4月から月1回のワークショップがスタートした。

初回のワークショップでは『島へ。』編集部の熊本鷹一デスクが講師役となり、日本に6,852ある「島」について講義。海上保安庁による島の定義や、島が果たす役割として「領海及び排他的経済水域などの保全」「多様な文化の継承」などを紹介した。

また、取材や撮影、原稿執筆、印刷など、雑誌制作の流れを紹介。「いずれの工程においても読者に何を伝えたいかを想定することが大切です」と生徒たちに雑誌づくりの基本となる考え方を伝えた。

『島へ。』編集部 熊本鷹一デスクによるワークショップの様子(画像提供:長崎県立宇久高等学校)

生徒たちは3グループに分かれて話し合い、宇久島の好きなところや嫌いなところなどについて自由に話し合いながら誌面で伝えたいテーマを探り、プロジェクト名を「宇久島の未来をつくるプロジェクト」と決定した。

5月24日に実施された第2回ワークショップでは、誌面のレイアウトデザインについて話し合い、生徒それぞれの構想をレイアウト案に反映させた。

指導を担当する長崎県立宇久高等学校の宮下真弓教諭は、「多くの生徒が卒業して島を離れますが、島を出る前に地域のことを学び、郷土愛を育む機会としたい。取材や雑誌掲載を通して、地域振興にもつながればうれしいです」と話す。プロジェクトにかかる経費は地元観光協会が一部負担する。

今後は、10月まで月に1回程度のワークショップを実施。2グループがテーマに沿って取材を行い、1グループは自校で実施している地域活性化に向けた探究活動「Uku Labo」についてまとめ、記事を制作。11月15日発行の『島へ。』に掲載を予定している。


【関連サイト】
3710Lab(みなとラボ)

関連する記事

ritokei特集